2009年11月19日

【創刊4周年】COURRiER Japon(2009.12)

R+(レビュープラス)様より献本いただきました。さて今回もグローバルな視点の記事が多く大変面白く参考になりました。今回の特集は「世界が見た“宇宙人的”日本」です。この特集のコンセプトのきっかけとなったのは、日本がまだまだミステリアスに世界を魅了する国として、編集長古賀義章氏のフランス在住時代の記憶がヒントになったといいます。このコンセプトをもとに、まさに世界を魅了する日本人や文化を海外からの視点で紹介しています。人物編では、まさに“宇宙人”鳩山首相からイチローそして宮崎駿まで海外で旋風を巻き起こした人物に焦点を当てています。また日本文化編では技術大国日本らしいコンテンツパワーや「思いやり」など独特の日本の美徳とされる文化が海外で評価されている模様を伝えています。また最近特に注目を浴びるポップカルチャーやオタク文化を、世界中の若者を熱狂的に魅了する“MANGA”を中東にスポットを当てて紹介しています。これらは日本ではすでに馴染みのある普通の文化ですが、それが海外ではそれまで無かった新たな価値観として取り入れられようとしていることが分かります。こうした海外の視点を通して日本を見つめ直す企画というのは、時として日本称賛記事になるところですが、本誌では外国の記者の目を通して、どこかオリエンタルな憧れの対象として紹介されており、逆にそれが読者にとって新鮮な日本の良さを再認識させてくれます。

次に紹介するのは、ポール・クルーグマン氏が特別寄稿している「経済学者たちはなぜ間違えたのか」です。その前にかつてリーマン・ブラザーズで勤務していた職員たちのその後を追った記事があります。ほとんどの人たち、特に住宅投資を手がけている部門の人々は再就職の道を絶たれ、無職あるいは細々と自営によって生活を維持しているといいます。ですがCEOリチャード・ファルドだけは、幾らかの資産を処分するはめにはなったものの、今でも避暑地の別荘もあれば毎朝のゴルフも欠かさず、新会社すら設立し、またもや金融の世界で再起を図ろうとしているといいます。しかし、職を失った大多数の元リーマン職員もそうですが、ほとんどの元リーマン職員は、政府の金融政策の失敗がリーマン破綻の原因、もしくは自分は上司に命令されただけだと口をそろえているといいます。そしてポール・クルーグマンの寄稿ですが、詳しいことは本誌を購読するのが早いですが、リスクを軽んじた金融工学と、マクロ経済に特化しケインズ主義を軽んじた結果として、今回の不況が起こったとしています。また連邦準備銀行の失策についても言及しながら、アダム・スミスの経済論から体系化しなおし今回の不況を解説しています。

個人的に取り上げたいと思った記事は、アメリカ大統領を護衛する、「最後の盾」であるシークレットサービス訓練施設を紹介したコラムです。難関の試験を通過した少数の者たちが、あたかも軍隊の特殊部隊顔負けの訓練が待ち受けるのです。まるで1冊ノンフィクションが書けそうなくらいすごい訓練内容です。訓練といっても本番そのものを再現して死ぬ覚悟も必要なくらいの過酷な訓練です。それもそのはず、大統領の盾となるということは、代わりに死ぬこともじさないのですから。流血、骨折などは当たり前、さらに模擬銃で撃たれ、有毒ガスを浴びる訓練はまさに凄まじいものがあります。この記事だけでも読む価値があります。

さらにCOURRiER Japonでは連載コラムも充実しています。特におやっと目を引いたのは、中島岳志氏のコラム「遺伝子研究で明らかになったインド人の本当の“ルーツ”」です。まずインドの間ではヒンドゥー教徒と認められるのはインド人だけだとする固定概念があるそうです。ですが、ヒンドゥー教徒は世界各地の国々にいます。それでも、インド人は自国の人間しかヒンドゥー教徒として認めないのだそうです。しかし、今回インド国民の大規模な遺伝子調査が行われた結果、インド人のルーツが分かったというのです。それはインドが遺伝子の坩堝だということ。それとインド人のルーツがヨーロッパ大陸からの移住ではなく、アフリカからヨーロッパとアジアとオセアニアに分かれたルーツの、南アジア方面の遺伝子で中央アジアのアーリア系の遺伝子との関連は少なかったといいます。またインド人の遺伝子は、アフリカに次ぐ最古の遺伝子が多く、アフリカからの移動は最初にアジア南部だったのではないかとしています。

ちなみにですが、この遺伝子のルーツ系をもっと知りたい方は以下の本がおススメです。
【当ブログ「イヴの七人の娘たち」書評】
イヴの七人の娘たち (ヴィレッジブックス N サ 1-1)

長くなりますが、もう一つ考えさせられるコラムがありました。アメリカ・タイム誌の記事「人はなぜ、ウィキペディアに書き込まなくなったのか?」です。07年3月に82万人の編集者の書き込みを記録したウィキペディアですが、以来その数を上回ることはなく、年々減っているとしています。それは常にデマや中傷によって書きかえるユーザーが増えたことと、古参の編集者と初めてや新しい編集者との間に官僚機構のような縦社会ができていることがその一つだと書かれています。ウィキペディア財団は編集者数を増やすという目標は立てていますが、実際にどんな取り組みも行っていないというか、行う術がないという現状なのだそうです。タイム誌はこれがWeb2.0の限界がきたのかとしています。これは日ごろから感じていましたが、日本でも著名人など編集合戦や編集機能を凍結されているものも見かけます。ネット世界の集合知とも言われたウィキペディアがこんなことになっているなんて残念です。当ブログでもよく利用させてもらっているので、なんとかこの活動は末永く続いてほしいものです。

総じてCOURRiER Japon誌はカルチャーから政治経済またwebや科学まで扱っていてグローバルな総合誌としてはかなりのクオリティーです。また毎回豊富なグラビアページに各国の記事には写真もついていて、分かりやすく女性にも優しい雑誌だと思います。前回に続いて今回も面白く世界視点で参考になる内容でした。

いち早く内容を知りたい方は、
以下のリンクから最新記事の一部が読めます。
【COURRiER Japon X−BRAND】 

COURRiER Japon
/~\Fujisan.co.jpへ


web拍手

posted by hermit at 20:07 | Comment(0) | 雑誌
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