2009年12月21日

【写真集】ロバート・キャパ写真集フォトグラフス@解説沢木耕太郎

瓦礫の中の人々、打ち捨てられた兵士の遺体、胸まで海につかりノルマンディーに上陸しようとする兵士、スペイン内戦において頭を打ちぬかれ崩れ落ちる瞬間の共和国軍兵士、老父の後で頭を剃られ子供を抱えながら歩くドイツ協力者の女性、そしてその女性らを憎しみをもって見つめるパリの民衆。すべてが圧倒される写真ばかりです。

これはキャパの40年の生涯において撮った写真の代表的なものを集めた写真集です。鬼気迫る戦闘シーンや、または戦火の子供たちを写したものもあります。またキャパの友人らヘミングウェイやピカソ、恋人のイングリット・バーグマンを撮影したものもあります。

しかし、キャパの写真で最も迫力に溢れるのは戦場写真でしょう。しかし、キャパは自身、戦場でしか存在意義が見出せないために悩んでいたといいます。キャパはこう言っています。

「スペイン内戦を通じて、私は戦争写真家となった。その後、私は“はったり気味”の戦争写真を撮り、ついに本当の大激戦の数々の写真を撮ることになった。そして、このような戦争のすべてが終わったとき、失業した戦争写真家となって、非常に幸いだと思った。私は自分の人生の終わりの日まで、戦争写真家としては失業のままでいたいと願った。」

また解説の沢木耕太郎氏はキャパの証言を通してこう書いています。
「(キャパは言った)『俺はバカだ、どうしてインドシナにゆくなどといったんだろう』と。これは恐らく死を予感しての言葉ではなく、戦場に行くことは憂鬱だが、行ってしまえばそこで生き生きとしてしまうだろう自分をよく知っている、五つの戦場を渡り歩いてきた戦争写真家の、深い絶望の籠もった吐息のような呟きだったと思うのだ」

キャパはそんな言葉を残してインドシナで地雷を踏み亡くなりました。キャパはその生涯において戦場にしか生きる場を見出せなかったといいます。しかし、戦場で兵士を囲んで歩く子供たち、そして昭和初期の日本の下町の人々、子供を抱えたピカソの笑顔、最愛のイングリット・バーグマン。戦場の写真の合間に収められた数少ないこれらの写真の中にキャパが求めていた安らぎのようなものも感じます。最後にキャパの名刺には冗談でこう書かれていました。

ロバート・キャパ
戦争写真家
失業中

そしてその状態を喜んでいるとも。

フォトグラフス―ロバート・キャパ写真集
沢木 耕太郎

フォトグラフス―ロバート・キャパ写真集
ちょっとピンぼけ 戦争・平和・子どもたち―ロバート・キャパ写真集 (宝島社文庫) キャパ その戦い (文春文庫) キャパ その死 (文春文庫) 泥まみれの死―沢田教一ベトナム写真集 (講談社文庫)
by G-Tools
web拍手

posted by hermit at 18:03 | Comment(0) | 映像・音楽
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ blogram投票ボタン 人気ブログランキングへ
カテゴリ
fx 比較
ブログパーツ