2010年01月04日

【映画】迷子の警察音楽隊

アマゾンのレビューにありましたが、本当に観終わってしみじみとする映画です。特段事件やドタバタがあるわけではありませんが、エジプトの警察音楽隊の8人のメンバーと、イスラエルの人々と女店主、それだけの登場人物がある一夜語り合うという、どちらかというと静かで叙情的な大人の映画です。まず、この映画の底流にはパレスチナ問題を背景としたエジプトとイスラエルの関係や、国民感情があります。

エジプトの8人のアレクサンドリア警察音楽隊のメンバーは、イスラエルに到着するや一文字違う町にやってきてしまうのです。そこにはホテルすらなく、バスもほとんど通っていません。音楽隊も到着したバスが最終便で、翌日までなく、そこで立ち寄った食堂の女店主の心遣いで、一夜泊まる場所を世話してもらうのです。

最初は町の人々とギクシャクした空気がながれます。しかし、両国間には共通の音楽もあるし、国と国との対立関係以前にそこには、家族や愛する人のいる一人の人間どうしです。夜が深まるにつれて、お互いに抱えている心の傷や、それぞれの愛する人への変わらない気持ちで、打ち解けてゆきます。

音楽隊の隊長は最初こそ、頑なでしたが、食堂の女店主の身の上話を聞くうちに、自身のつらい過去を話はじめます。音楽隊の青年隊員は、町の気弱な青年の恋をとりもってあげ、中年の隊員は、同世代の町の男性と家族について語り合います。そして夜が明けると、音楽隊は何事もなかったように、目的地に発ってゆきます。

かたやエジプトの音楽隊、かたやイスラエルの田舎町の人々、全く共通点も価値観も違う人々がたった一夜だけ心を通わせました。そこにはパレスチナ問題も、人種や宗教の問題も関係なく、1人の個人としてのつきあいでした。

パレスチナ問題には何世代にも渡る背景や国際問題があります。しかし、それに翻弄される人々はこの映画に出てくるような、普通の家庭人であったり、善良な若者であったり、また心に影や傷を抱えた人々でもあるでしょう。

映画が進むにつれ、最初こそギクシャクするものの、徐々に国や宗教も違う人々が分かり合うにつれ、この人たちがなぜいがみ合い対立しあわなければならないのかということが、際立って感じられます。特にお互い傷を抱えた音楽隊の隊長と女店主の2人が夜の薄暗いベンチで語り合う場面などは、しみじみとさせられます。味わいのある秀作でした。

パレスチナ問題―Wikipedia
迷子の警察音楽隊(受賞歴・製作・キャスト)―Wikipedia

迷子の警察音楽隊 [DVD]
迷子の警察音楽隊 [DVD]
Nikkatsu =dvd= 2008-06-13
売り上げランキング : 17162

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
題名のない子守唄 [DVD]
潜水服は蝶の夢を見る 特別版【初回限定生産】 [DVD]
オフサイド・ガールズ [DVD]
4分間のピアニスト [DVD]
4ヶ月、3週と2日 デラックス版 [DVD]

web拍手

posted by hermit at 16:19 | Comment(0) | 映像・音楽
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ blogram投票ボタン 人気ブログランキングへ
カテゴリ
fx 比較
ブログパーツ