2010年07月14日

超訳・ニーチェの言葉@白取春彦編訳

いわずと知れたベストセラー本です。最近読書から遠ざかっていたので肩慣らしのつもりで読んだのが本書でした。その本書ハードカバーで結構な厚み、重厚感漂う装丁など、いかにも哲学に親しみの無い方をその気にさせてしまうような作りとなっています。値段もそれらしく1700円。それが高いか安いかは読者諸氏にお任せしましょう。

さてニーチェという人物、これもいわずと知れた哲学の大家です。私もこの人の哲学書を本格的に読んだことはまだないですが、哲学者の中では読みやすいともファンが多いとも聞いたことがあります。

けれどもニーチェという人物に対しては、未だに賛否あるのが正直なところ、これほど大衆ウケするというのはいかに日本に哲学や宗教の敷居が低いかということが解る気もします。ニーチェという人物は徹底的に宗教を否定した人物でもあるからです。ですから、特に西欧諸国などキリスト教圏の国々など、または日本でもそういった宗教者たちの間では好き嫌いが分かれるところでしょう。

話を本書に戻すと、超訳となっていますが、言葉の一つひとつを検証はできませんが、本書の読みやすさの一種自己啓発的な言葉の数々は、超訳というより著者の意訳が含まれていないかという懸念をもちました。前述した通りニーチェはわりと読みやすいほうの哲学者といいますが、これほどではないと思います。それにこれほど自己啓発的な言葉を語ったのかというところにも疑問を感じてしまいます。

それと本書の感想を書くにあたって白取春彦という人物について調べてみましたが、拙ブログ「仏教『超』入門」などの宗教や哲学の入門書以外とりたてて著書を出しておらず、ネット上にもそれほど文献が見当たりません。プロフィール等も獨協大学の宗教・哲学科の教授というぐらいで見当たらず、この訳者がどれだけの業績を残しているのかについては不明でした。

改めて本書を読み返すと、人は自分に無いものを求めるように本書の中にも何かしら人生を指し示す言葉がちりばめられています。内容からすれば、ビジネスマンに持て囃されているドラッカーや松下幸之助等の自己啓発本とも似ていて読んでいて自分を奮い立たされる部分も多々あり、なるほどそういう類の本なのかということが解ります。だからこそ、私の感じた違和感、本書の意外なほどの読みやすさも納得できます。

ただ本書がベストセラーとなることで、願わくば本書やニーチェを通して広く哲学が受け入れられることになればと思います。

最後に様々な意味での戒めとして以下の言葉を抜粋します。

本を読んでも

本を読んだとしても、最悪の読者だけにはならないように。最悪の読者とは、略奪をくり返す兵士のような連中のことだ。
つまり彼らは、何かめぼしいものはないかと探す泥棒の眼で本のあちらこちらを適当に読み散らし、やがて本の中から自分につごうのいいもの、今の自分に使えるようなもの、役に立つ道具になりそうなものだけを取り出して盗むのだ。
そして彼らが盗んだもののみ(彼らがなんとか理解できものだけ)を、あたかもその本の中身すべてであるというように言ってはばからない。そのせいで、その本を結局はまったく別物のようにしてしまうばかりか、さらにはその本の全体と著者を汚してしまうのだ。


超訳 ニーチェの言葉
超訳 ニーチェの言葉白取 春彦

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posted by hermit at 16:55 | Comment(0) | 哲学
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