2009年01月05日

パプリカ

前評判は一切知らず、偶然手に取った作品です。ジャケットからして、その映像美は予想しましたが、なかなかどうしてあっという間の2時間でした。

ウィキペディアによると、原作とは少々違っているそうですが、2時間という制約とエンターテイメントということを考えれば、このほうが正解だったかもしれません。

“夢の世界”という、誰もが考えそうで、実際難しそうな題材をアニメとはいえここまで表現したのは製作者の実力と才能を感じさせます。

夢を利用することで人を支配する、人々が夢でつながっている。これはユングの集合的無意識などの精神分析学の理論に基づいているのでしょうが、そんな小難しいことを考えなくても楽しめる作品です。

しかし、絢爛たる映像美、そして想像豊かな夢の世界。例えるならば、宮崎アニメ「千と千尋の神隠し」の八百万(やおろず)の神々のような、色彩美があるように思います。映像を眺めるだけで損はない作品です。

あとちょっと嬉しかったのは、主役を演じていた林原めぐみさんの声を久ぶりに聞いたことでしょう。特にファンというわけではないのですが、いわゆる萌え系アニメ以外の作品で林原さんの吹き替えを聞いたのは、ほとんどこれが始めてかもしれません。

周りの江守徹氏や大塚明夫氏という実力派声優にかこまれて、実力的に少々難があったかもしれませんが、意外や意外、主人公パプリカの活き活きとしていながら少しだけ艶っぽい声は、場面の折々でゾクッとさせられました。

僕がこんなこと書いてもしょうがありませんが、林原さんにはこのような作品で少しずつでも幅広い役柄の経験を積んでほしいものです。っていうかベテランさんなのではあるが。

主人公のキュートで小悪魔的な可愛さ、そして現実世界の主人公のクールな知的魅力さ、そしてそのどちらもを対照的に演じる林原さんの新たな一面。そして脇を固める江守氏など実力派の役者陣。それになんといっても、クールで幻想的な映像と描写。

日本のアニメの実力がはかり知れるような、120分があっという間の作品でした。

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2009年01月04日

攻殻機動隊2ndGIG

やっと見終わりました、攻殻機動隊2ndGIG。といっても1週間ほど前なのですが、スゴイですこの作品。例によって内容は書きませんが。最近の萌えキャラさえ出しておけばいいとする安直なアニメ作品に対するアンチテーゼとして観ることができました。

メインストーリーとなる「個別の11人」とゴーダの陰謀もさることながら、公安9課のパズやサイトーがメインのストーリーも良かった。むしこ、これらの話が、際立ってよかったように思います。

しかし、2ndシーズンともなると、話も難解になってきます。スタンドアローン・コンプレックスの発展系ともいえるテーマ。ただでさえ、難解な世界観と電脳用語、ついていくのがやっとというところもありましたが、ただ単にアクションや、キャラクターたちが話す、一言一言の名ゼリフを堪能するのもよしで、いろんな楽しみ方があると思います。

ちょっとネタバレになるかもしれないけれど、最後はハラハラしました。核爆発真直のデジマ(ちょっとこの周辺はリアルで詳しいのです)において、素子が、クゼの言うとおり電脳世界に意識を移すことを決意するシーン。おいおい、少佐がいなくなるのかよ〜と冷や冷やしました。

こうやって、素子がいなくなることは映画版への伏線なのかな?なんてことも考えつつ、そうならず一安心でした。

それとやっぱりタチコマです。2ndシリーズも泣かせてくれました。自らをもって核攻撃を止める場面。「ぼくらはみんないきている〜♪・・・・」ってやつです。

あれで泣かないやつは、タチコマファン失格でしょう。どうにかしてタチコマ復活してほしいものです。1ndシリーズで研究所へ送られた時、バックアップは取っていなかったのでしょうか。バックアップの複製だとしても復活してほしいものです。ラストに出てくる、旧式のタチコマを見ているとなんとも悲しくなってきます。

それと、ないとは分かっていても3ndシリーズが見たいものです。あのハードボイルドな電脳世界はひとつの可能性として僕は興味深く見ていました。公安9課の活躍をアニメでまた見たいよ〜(願)。実写版は、そんなに期待できそうもないですけど。

あと、2ndシリーズを見た後、「イノセンス」を見ました。いや〜オスイズムは分かんね。だって、センスが70〜80年代そのままなんだもん。

あと、日本よりも海外を意識した作り方。言い換えると、外国から見た日本だから、ディーティールもへったくれもない。アニメはきちんとした世界観がありましたが、押井版では、日本が単なる無国籍のスラム街なんだもん。

あちゃ〜っと、目を覆っちゃったのは、警察署の外観がネオンで「警」の字に表示してあるとこ。おまえ日本人だろ〜が!!日本をバカにすんじゃねぇ!!ギャグのつもりか!!と、DVDレコーダーの停止ボタンをすぐ押しましたね。

まあ、始まって15分前後の部分でしたが、容赦なくレンタルショップに返却しました。こっちはお金出して見ているんだもん、そのくらいの権利はあるさ。

まあ、僕の機嫌が悪かったのかも知れないから、また機会があったら見てみたいと思います。

「イノセンス」に比べれば、紛れもなくテレビシリーズ攻殻機動隊は名作アニメでした。

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「攻殻機動隊」第1シーズン

アニメが好きな人間からして、この作品を今頃見るのは、モグリだろうと言われそうですが、お察しの通り今回が初めてなのです。

僕は、ビルボードで1位を取ったことぐらいしか知らない、原作もゲームなどの関連情報も知らないズブの素人なのですが、タイトル通り度肝を抜かれました。

詳細な内容についての考察は、いろんな所でされているので詳しくは触れませんが、士朗正宗という人はスゴイというか本当に漫画家さんなのですか?(驚)

今まで僕がこの作品から遠ざかっていたのは、押井守監督の最初の映画作品を見てからでした。

当時、今よりもっと、ネットとか電脳というものに対して弱かった僕が、何の予備知識もなく見たこの作品は、正直「わからん」というものです。

透明になれる特殊部隊が活躍するハードボイルド的なアクションアニメ映画ぐらいは分かるのですが、あまりに観念的、抽象的すぎる気がしました。

映像が綺麗なのは分かるけれど、僕のような人間にはついていけなかったのでしょう。

しかし、テレビシリーズは違いました。前述したとおり凄まじいくらい面白く、ディティールの細かい設定は、現在の社会情勢や国際情勢、国や諸外国の機構まで知っていれば、なお楽しめる作品です。

それと、「タチコマ」の愛らしいことよ。殺伐とした公安9課唯一の癒し系ですね(笑)いやいや冗談じゃなくて。もっとタチコマが活躍するシーンが見たいほどでした。これから見る第2シリーズが楽しみです。

それだけに、後半のあの名シーン、バトーの命を救うために、タチコマたちが身を挺して助けるシーンは泣けました。アニメを見て泣くって久しぶりじゃないでしょうか?(ちなみに前回は、おじゃ魔女どれみでした。ってどれと比較しとんじゃい!)

タチコマが粉々に粉砕されて、爆発するシーンは思わず
「タチコマわゎゎゎーー!!」と絶叫するのを必死に我慢しておりました。

当時、やたらと2chでタチコマのAAを見かけたのですが、多くのアキバ系の心を震わせた理由がよく分かりました。

しかし、「笑い男」が9課のメンバーにならなかったのは残念です。荒巻課長、惜しいことしましたねェ〜。

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2008年10月25日

封印作品の謎 ウルトラセブンからブラック・ジャックまで

      《著者紹介》
 
       安藤健二

       1976年、埼玉県生まれ。
       早稲田大学第一文学部卒。
       産経新聞社を経て、現在、
       フリーライター。
       本書がデビュー作になる。
       

  《目  次》

       第1章 闇に消えた怪獣
           ―『ウルトラセブン』第一二話「遊星より愛をこめて」
       第2章 裁かれない狂気
           ―『怪奇大作戦』第二四話「狂鬼人間」
       第3章 忘れられた予言
           ―映画『ノストラダムスの大予言』
       第4章 禁じられたオペ
           ―『ブラック・ジャック』第四一話「植物人間」
            ・第五八話「快楽の座」
       第5章 萌える行政
           ―『O‐157予防ゲーム』
       
      《内容と感想》
  
  表現の自由や知る権利といったものがまだ無かった時代、
  発禁というものは元々、反政府的な内容だったり、
  思想的な問題であったり、性描写の多いものなど、
  その時代の為政者や権力者たちにより一方的に検閲され
  世の中から消えた作品が多くありました。


  しかし、近代になっても人権意識の高まり、版権の問題、
  自主規制などから、その作品が発表されても
  その後お蔵入りしてしまう作品が数多くあるといいます。


  DVDや衛星放送そしてインターネットの普及などにより、
  あらゆる作品が手軽に見れるようになった現在では、
  それらの作品はいわば都市伝説のように人づてに
  囁かれる存在となっています。


  この本では作品が封印された事情やその経緯、
  その内容が本当に封印されてしかるべきものなのかを
  検証していきます。


  総じて当時は今ほど自主規制や人権意識も普及しておらず、
  障害者や差別に対する認識が甘かったという背景がありました。


  と同時に抗議する団体にしても、
  積極的に世の中に発言していこうとする
  時代の気運のようなものがあったといいます。


  僕的に印象に残ったのは、
  怪奇大作戦とブラック・ジャックの封印作品についてでした。


  「怪奇大作戦」とは円谷プロがウルトラセブンの後番組として
  制作・放送した番組でしたが、セブンとはうって変わって
  暗く重い内容でした。


  24話「狂気人間」では、犯罪を犯した精神障害者について
  扱っており、何人もの人を殺したとしても、
  刑法三十九条によって罪には問われない
  精神障害者の問題を取り上げていました。


  家族を精神障害者に殺された女が、
  身につけることによって一時的に精神異常を引き起こす
  機械を発明し、それを装着した他の人間が次々に人を殺し、
  そのたびに罪には問われず、女は社会に復讐を果たす
  といった内容ですが、現在ではタブーとされるこの問題に対して
  子供番組とはいえ三九条を真正面から考えさせる内容でした。


  しかし、一見して精神障害者=殺人者と連想される内容は、
  精神障害者家族会などの抗議の的となってしまいます。


  そして、それは円谷プロが企業としてのイメージや
  その頃から本腰を入れはじめたキャラクタービジネスなどのため、
  作品の本来の意図などはかえりみられず、欠番となってしまいました。


  一方「ブラック・ジャック」でも作者の手塚治虫が脳手術を
  安易にロボトミーと言い換えたため、当時ロボトミー手術に対する
  反対運動や裁判の支援者たちの批判を買ってしまったといいます。


  ロボトミー手術とは、主に精神病患者に対して
  脳の一部を切り取ることによって、患者の興奮状態や
  攻撃性を取り除く手術でした。


  しかし、同時にそれは患者を廃人のようにし、
  社会復帰への道を閉ざす人権侵害にも等しい
  非人道的行為であり、人体実験の延長のようなものでした。


  これは他の作品らと違い、連載中の出来事であり
  直接抗議を受けたのも一連の封印作品でなく別の作品でした。


  しかしロボトミーという手術の意味合いの大きい
  同2作品が封印となってしまうのです。


  著者は上記の作品も含め、当事者だけでなく
  抗議した団体にもきちんとその真意を取材しています。


  この本で取り上げられた作品に対して抗議を行った
  障害者団体の多くは当時のことを、前に書いたとおりその
  時代の気運というのか積極的に差別を助長するものに対して
  抗議を行っていこうとする動きがあったことを認めつつ、
  現在でもそれらの作品はあらためて当時と同様
  やはり問題を感じる作品であるとしています。


  しかし当時のことを振り返り、抗議することが
  同時に表現の自由を奪う行為となり、
  当時のように自由な作品を生み出す風土を
  制限していたと語っています。


  どの作品もそうですが、社会性のある作品であっても、
  その表現方法、言葉の使い方一つで
  その作品自体のメッセージより、
  差別的な部分だけが誤解されてしまう現実があります。


  現在でもPTAとか日教組だとかの
  TV番組への抗議や、NHKの過度な自主規制など、
  この種の抗議や圧力とかいうものが必ずあります。


  障害者団体や反核運動団体などと違ってこれらの団体は
  当時と違い、明確な意思というより、一方的な抗議などや
  言葉狩的な行為が目立つようになってきました。


  またインターネットの普及で2ちゃんねるをはじめとする
  匿名の利用者たちなども、集団での官公庁への抗議から、
  一個人のブログの閉鎖まで、時には横暴ともいえる
  圧力団体化する現状もあります。


  1人1人が自由に発言できる時代にはなりましたが、
  同時にたがいに監視する世の中になっている現代は、
  表現の自由と抗議のはざまで作品や言論が漂流する
  社会なのかもしれません。

封印作品の謎―ウルトラセブンからブラック・ジャックまで (だいわ文庫)
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安藤 健二

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