2009年11月02日

【ガイド】お笑い芸人就職読本

まずこんな本があるのに驚きました。第3次お笑いブームとか言われていると思ったら、こんなお笑い芸人就職マニュアルがあるなんて。恐らく読者の皆様は本のタイトルだけではたんなる芸能界内輪話的内容なのかとご心配なされるかもしれませんが、れっきとしたお笑い就活本です。収入からデビューの仕方から芸の磨き方まで。巻末には主要芸能事務所養成所のリストと学費までちゃんと就活ガイドとなっています。

ただお笑いの世界というものは吉本NSCに入れば、基本から何から教えてくれてそのまま吉本芸人に仲間入りというわけではなく、数百人の中でも芸人として成り立っていくのはほんの1組から2組あればまだいいほうなのだといいます。ほとんどが半年や1年で脱落するかやめていくとか。

著者が書くのは一貫して芸人の世界がそんなに甘いものではないということ。視聴者やファンが考えているようにテレビにでれば大金がもらえるというのは勘違いだということ。タモリや島田紳助また明石屋さんまらトップの芸人以外、他の多く若手芸人たちが今でもバイトしながらテレビ出演をやっとこなしているという現実があるというのです。

そしてもうひとつ。売れている芸人に最も共通するもの。それは舞台を大切にしていること。それは舞台での臨場感のある芸を磨くこともありますが、テレビだけというのは芸人をダメにすると著者は断言する。テレビは視聴者はもとより芸人自身の芸すらすべて消費させられネタが尽きればあっさり切るということ。だからこそ舞台を大切にする芸人たちはそこで新しいネタを模索し開拓していく。つまりは引き出しを多く作っておくのである。

だが難波グランド花月や東京ルミネ・ザ・吉本でも出演料はたった1,500円。テレビで活躍する芸人のほとんどがアルバイトとのかけもちで、テレビだけで食べられている者はトップと中堅とわずかな若手だけだといいます。それでも、実力のある芸人は舞台を捨てないのだ。

舞台とテレビは本質が違います。舞台は目の前の観客の反応がダイレクトに分かることに対して、テレビは画面の向こう側の無数の視聴者を相手しなければならないからです。つまりは舞台勘がなければテレビは通用しないということなのです。

大御所、夢路いとし・喜路こいしのインタビューではこう言う。この人たちは1925年と27年生まれの兄弟で93年に漫才界初の芸術選奨文部大臣賞と紫綬褒章を受けその6年後に大阪の無形文化財となった芸能界の生き字引です。この大師匠はこうインタビューに対して言います。

「漫才が上手になりたけりゃ、嫌いな漫才師の舞台を見ることやな。わしも嫌いな漫才ほど熱心に見ました。好きなヤツのしか見てへんかったら、そういう漫才しかできん。古い大阪弁で“真似衆万歳(まねしまんざい)”っていいます。うまいこと真似たら、うまいこと学べまんのや」

また吉本の実質上のトップに君臨する中田カウス氏はこう語る。
「漫才をファッションのようなつもりでいる若手が多いような気がします。いや、僕らの世代でも、同じような気持ちでこの世界へ入ってきた連中は、なんぼでもおるんです。けど世の中の流行りなんか、すぐに移ろっていく。逆をいうたら、芸人はそういう移ろい事にも敏感でなければいけません。けど、もっと大事なもんがこの世界にはあるんです。

漫才の先祖をたどれば河原者(かわらもの)に行き着きます。芸人なんて、しょせんは見世物なんですよ。ろくろ首や牛娘と一緒です。だけど、その禍々しさ毒気が、えもいわれぬ魅力につながっていくんです。素人にはけっして立ち入れない世界に棲んでいるからこそ、芸人をのぞいて見てみたくなる。芸人になる以上は、結界の向こう側へ足を踏み込む決意があるのかと自問してほしいですね。

(中略)芸界に入りたいと思ったのは、小さいころに村のお祭りで旅芸人を見たからだった。僕が強烈に惹きつけられたんは、楽屋で芸人たちが見せる、カタギじゃない者の匂いやったんです。怖かった。暗かった。近寄るもんやないと思った。こんなんを好きになったらあかん、と頭で理解してたんです。けど、あかんかった。芸人が垣間見せるヤクザな世界が僕を虜にしてしもたんです。入ってはいけない世界に入る後ろめたさ……これを感じることが大事なんです」

芸人のとらえかたは各芸能事務所でも違う。現在のお笑いブームのけん引役の吉本興業では、芸人を一種コンテンツとして売ろうと考えている。NSCもわざわざ授業料まで払ってくれてその中から、一握りでも芸人が生まれてくれれば濡れ手で粟だと語る。

東京と関西の違いだろうか、東京の芸能事務所では芸人=タレント志向が強いようだ。初め芸人として顔を売り、名の知れたところでタレント活動してもらう。しかし、これも最初はもちろん事務所主催の舞台で腕を磨かなければならないのは同じなのです。

しかし、今の若手芸人たちは猪突猛進にダウンタウンや明石屋さんまの位置を目指しているのではなく、自分の芸風を冷静に考えニッチなスタンスでの存在位置を獲得しているといいます。例えばいわゆるひな壇芸人、またマニアックな知識や趣味を生かした立ち位置を得た芸人でしょう。

つまりは芸人と一口にいってもそんなに甘くないということ、そして芸人の世界というものは死ぬ気でやらねばならないつもりではなくてはならないということだと著者は書く。実際ポール牧など自殺した芸人もいれば、身を持ち崩して姿をくらました芸人だっている。

またNSCの話題に戻るが、この養成所の初期は行き場のない非行少年らのたまり場のような生徒が多かったといいますが、現在はまったく違うといいます。今は引きこもりの青年や心の病をもつ生徒が大半をしめるといいます。そんな生徒たちの中で代表的なのは千原ジュニアなどです。実際、ボキャブラ全盛時代には統合失調症の芸人がいたとか、現在でもうつ病を抱えた芸人などもいるという。著者は芸人とはあるいみ狂気や毒がなければならない。そういう意味で、こうした病をもつ芸人たちに生き場を与えたのが芸人の世界だったのです。

総じて、芸人というものの厳しさも踏まえつつそのノウハウ、例えば相方の選び方や養成所の選び方なども丁寧に描いた、本当の芸人就活本でした。笑いはアウトローの世界と書きつつも、だからこそこの世界で生きていくすべまたきっかけをきちんと押さえてあるのは良心的でしょう。ただ本書のインタビューに出てくるベテラン芸人さんや舞台支配人たちが懸念していることは、昔のような芸の道に対してハングリー精神というか、天下をとりたいといった大きな目標がなく、ただ自分が食っていける程度の消極的な若手が多いということ。そしてどの養成所も話していますが、養成所に入ったからには基本から実践まできちんと教えますが、卒業した後はそれこそ自分たちで弱肉強食の芸能界を生きていかねばならないということです。つまりはまずは芸能界で生き残ること息の長い芸を見につけることが重要なのだといいます。

私自身とはまた別世界ですが、テレビを通して面白おかしい芸を披露している芸人たちがいかに苦労しつつ今、目の前のテレビや舞台に立っているのかということが分かっただけでも良かったです。もしそういった芸の世界を志すならば本書のように、志は大きくそして舞台を大切に観客を大いに湧かしてほしいものです。

お笑い芸人就職読本
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2009年01月06日

都市伝説探偵団

「死体プールの高額バイト」「黄色い救急車が迎えに来る」「源義経はジンギスカンになった」「フリーメーソンは世界征服を狙う」「将門首塚は未だに祟る」「写真の真ん中に写ると死ぬ」こういった懐かしの都市伝説からまことしやかに囁かれる噂話までAERAの都市伝説取材班が徹底的に調べています。

それぞれ一つ一つの都市伝説が、当事の世相や社会不安を反映しているものが多くて、今だったら笑ってすまされることでも、当事の社会常識では理解できなかったり、道徳的ないましめの意味で語られているものが大半でした。

若者の間で流行った噂や都市伝説では”死“や”不幸“がつきまとう話が多いのに比べて昔からあるような、ある程度年配の方々が話すものは、あながち嘘でもなくいわゆる教訓めいた話があるのはそれを示唆しているようにも思えます。

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萌え萌えジャパン 二兆円市場の萌える構造

この本が出版された時点で、日本におけるキャラクタービジネスの市場規模は2兆円を超えるといわれています。さらに書籍、地上波、衛星放送、携帯などの各メディアの売り上げ総額は12兆7906億円となり、農林水産品の生産高約10兆円をこえる数字となります。

つまり、日本におけるキャラクタービジネスは日本が誇る主要産業と言っても過言ではないのです。この本では「萌え」というキーワードを元に世界に誇る日本の文化であるアニメ、声優、フィギュア、アイドル、メイド、コミックマーケット、抱き枕など中心に対し、ある意味著者の趣味の延長ではないかと思われるようなものまでも取材しています。

萌え萌えジャパン 2兆円市場の萌える構造
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堀田 純司

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2009年01月02日

ハローバイバイ・関暁夫の都市伝説 信じるか信じないかはあなた次第

《著  者》  関暁夫 著                       

《出 版 社》  竹書房 (ISBN:4-8124-2948-X)

      《価  格》  1,260円(税込)

      《著者紹介》
         
      《目  次》

       第1章 身近な陰謀
            口裂け女
            キレイな木の下には何かある ほか
       第2章 この世のミステリー
            ケネディとリンカーン
            呪われたケネディ一族 ほか
       第3章 有名人の謎
            マイケルの金玉
            占い師の占い師 ほか
       第4章 アメリカ政府と統一国家思想
            東京ニューヨーク化
            電子レンジUFO説 ほか       
 

 旬の芸人さんによる一級のエンターテイメントとして
 読ませていただきました。僕もちょっとした都市伝説マニアで、
 この手の本は興味本位でちょくちょく読んでいます。
 本書も古今東西の都市伝説から日常の身近なものまで、
 様々な題材が取り上げられています。


 簡単に書けばよくある陰謀論と噂話とトリビアネタを
 いいとこ取りしたような内容です。ディズニーからUFOまで
 よくここまで見つけたなぁと感心するほどです。
 この本の特徴は、著者である関暁夫さんの軽妙な文章と、
 確信には迫らないまでも、証拠らしきものをチラつかせて
 読者の興味を惹くテクニックでしょう。


 しかし、ちょっとだけ難点もあります。
 その手のマニアが読むと、
 どうしてもボロが見えてくることです。
 その辺のことをちょっと書いてみましょう。


 「スピルバーグの正体」と題された都市伝説です。
 スピルバーグはその才能を認められたことから、
 政府の重要機密であるUFOと宇宙人について知らされ、
 彼の映画は、世界中の人々にUFOと宇宙人を啓蒙するために
 製作されているとのことです。


 本書によると典型的な宇宙人「リトルグレイ」は、
 スピルバーグの「未知との遭遇(1977年)」が初出だと
 書かれていますが、実はですね〜そうではないんですね〜。
 以前ここでも紹介した
 「なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか」によると、
 グレイタイプの宇宙人は1962年に放送された
 アメリカのテレビドラマが初出なんですね。


 そこでアブダクションという宇宙人による誘拐も取り上げられ、
 そこから現在のような催眠誘導による宇宙人による
 連れ去られ体験が数多く生まれたのです。


 続いて「ノストラダムスとヒトラー」という都市伝説ですが、
 これはノストラダムスの予言が当たっているのではなくて、
 この予言を的中させるために世界中で故意に操作が行われている
 という内容ですが、本書ではヒトラーと第3帝国そのものが
 予言のためにでっちあげられたものだと語られています。


 ちょっとこれも信じがたいことがいくつかありました。
 本書によるとヒトラーは自殺ではなく、
 ノストラダムス信奉者のエヴァ・ブラウンによって
 眉間を撃たれて死んだとなっており、実際にソビエト軍による、
 ヒトラーの死体写真が載せられています。


 ここで僕ははて?と疑問がわきます。
 写真というのは、死後眉間に銃創のある
 ヒトラーの写真なのですが、実はヒトラーというのは
 拳銃自殺したあと焼却され地中に埋葬されているんですね。
 これは結構有名で、ヒトラー関連本にはどの本にも書いてあります。
 「ヒトラー最後の12日間」という映画でもそうでしたね。

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 それなのに写真のヒトラーは、眉間の銃創以外はまるできれいです。
 ガソリンで焼かれた形跡なんて全くありません。
 写真は生身そのものです。それ自体が陰謀だと言われれば、
 もう何も言えませんが。少しだけ詰めが甘かったかもしれません。


 そして本書の代表的な都市伝説である。「お札の秘密」ですが、
 アメリカ1ドル紙幣をある方法で折り曲げると、
 9.11テロで燃え上がる世界貿易センタービルと
 フリーメーソンのシンボルマークが現れるというものです。


 一読して1番インパクトがありますし、ハッとさせられます。
 しかしですよ。なぜ、ドル札に暗号を入れる必要があるのか、
 何のために誰に向けて?それにあの折り方が分からなければ
 誰も気づきません。フリーメーソンの何らかの暗号ならば、
 別にこのように手の込んだ方法を使わずとも、
 フリーメーソンは有名な親睦団体なのだから、
 その会合で言えばすむことだと思うんですけどねぇ。
 でも折り方の方法を見つけたのは見事でした。


 まあ、こんなことを書きつつも本書はそんな無粋な突っ込みよりも、
 冷やかし半分お笑い半分で読むためのもので、
 エンターテイメントとして一級のネタとして楽しめました。
 扉についている、胴体が異様に長い猫の写真を見るだけで、
 「そんなバカなぁ〜」と笑えます。


 さて、みなさんは本書の都市伝説を信じますか?
 それとも単なるネタだと笑い飛ばしますか?
 信じるか信じないかはあなた次第です。


 ☆なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか

ハローバイバイ・関暁夫の都市伝説―信じるか信じないかはあなた次第
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関 暁夫

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2008年11月06日

31歳からのハローワーク

            宝島社 刊

            別冊宝島編集部 著

            ¥ 670 (税込)


    〈内容の説明〉

     次の就職先を決めるのに大変とされる30歳のカベ。

     しかし、世の中を見回してみると、

     「こんなことが金になるのか」

     「よく知っているつもりの職業だけど、

     こんな方法で儲けることができるんだ」といった

     ニッチでアイデア満載のお仕事がたくさん存在する。

     本書では、その道で働くプロが、

     ちょっと努力すればできるものから、

     危険と隣り合わせのものまで、

     それら一風変わった職業を一挙に紹介。
     

    (アマゾン:内容の説明より)


    〈感  想〉

     31歳からの・・・・とありますが、

     誰しもがその気になれば出来そうな職業が

     いっぱいありました。

     (完全に犯罪性があるものもありますが、笑)

     アフェリエイトからニセ募金はては傭兵まで

     人間がいるところにはどんな職業でもあるな〜

     と読みながらあきれたり感心したりしました。

     92もの職業が紹介されているので、

     一つの職業の紹介は3〜4ページ程度なのですが、

     キチンと押さえるところは押さえてます。

     収入、資本金、必要経費、犯罪性‥など

     細かいところまでも手が届く内容となってます。

     ホントにおいしいな〜ってのもいくつか

     ありました。

     職業に貴賎は無いと思ってましたが実際は

     貴賎がありそうなんですけど・・・・なんて(笑)

31歳からのハローワーク (宝島社文庫)
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別冊宝島編集部

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