2009年10月15日

【マンガ】教科書が教えない歴史全3巻

本書は主に近代史を扱った内容です。幕末から昭和まで日本に尽くした日本人を紹介する歴史マンガ、いわゆる近代史の歴史マンガです。昨今の社会科や日本史の学校教育では、この近代史を教わる前に学年末が終わってしまう。

どのように日本が西欧と肩を並べる国となったのか、この百数十年の間にここまで近代化したのか、そのために日本がなにを行いどんな偉人たちが活躍したのかというのが、人物また明治憲法と戦後の日本国憲法を中心に紹介しているマンガです。

そういえば私たち日本国民は近代史というのはいわゆる侵略戦争の歴史また幕末の志士などはよく歴史小説などになりますが明治・大正時代に日本をアジアの大国に発達させた功労者などについてはあまり知識がなかったように思います。

さらに昨今の否定的な歴史観のため、これら近代史に負の側面ばかりをイメージしているようにも思います。こうした中で本書は知られざる近代日本の貢献者たちに焦点をあて丹念に紹介しているので、新しい発見も多いでしょう。

また日本のみならず近代の日本人の中にも、アジア全体の国々に貢献した人たちがいることを知ることができました。明治・大正期のアジアの多くが欧米列強の植民地でした。そんななか富国強兵をいち早く行った日本は、各アジアの国々の独立運動の闘士たちを日本で育て、その後のアジア独立のきっかけとなったことも紹介されています。有名なのは、中国建国の祖孫文を日本に招いていたことです。

たしかに第2次世界大戦では日本は多くの罪を犯したかもしれません。しかし、その中でも人知れず終戦後も現地に残り被害国らに尽くした日本人がいたことや、終戦後もアジア各地に残り植民地からの独立に貢献した知られざる日本兵がいることも紹介されています。だからといって日本賛美のマンガというわけでもなく、無謀な戦争に反戦の意義を唱えた人たちもきちんと紹介されています。

さらに憲法についても割りと公平な視点で描かれているように思います。明治憲法と現在の日本国憲法についてその意義と問題点をきちんと抑えてあります。明治憲法では、新政府がこれから独立国家として欧米から様々なことを学びそしてアジアで初めての立憲君主として作られた憲法だったと紹介されています。これは同じアジアの国々はのみならず世界各国から驚きと賞賛の賛辞が贈られたといいます。ただ昭和初期に統帥権という言葉で軍が暴走をはじめたことが日本の過ちであったことも書かれています。

そうじてエンターテイメントというより近代史と伝記集を読むといった感じですが、ややイラストの描き方が硬いというか今風ではないですが、知識としてはマンガのほうが頭に入りやすく知られざる人物たちに参考になることばかりでした。

教科書が教えない歴史
教科書が教えない歴史
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2009年03月29日

本:白バラは散らず〜ドイツの良心ショル兄妹

ナチ政権下のドイツ国内において反ナチ・反戦の抵抗運動を行い散っていったショル兄妹について兄妹の姉が回想した内容です。多くの若者がそうであったように2人もナチの儀式的儀礼的な部分に魅了され、ヒトラーユーゲントにも参加します。しかしそこでは全く自由はありませんでした。唄から読書そして言動まで規則で縛られ、その頃から国や社会に対する疑念を感じていました。さらに兄ハンスはロシア戦線での悲惨な体験もあり、国民のための国家でなく国家のための国民という全体主義に対して不信を決定的にしたのです。

ハンスは単独で、あるいはわずかな仲間たちと「白バラ」という抵抗グループを作り、反戦ビラという形で抵抗運動を行いやがて妹ゾフィーもそれに加わっていきました。当時抵抗組織は他にもいくつかあったようです。しかしショル兄妹の抵抗運動はまったく独自であり、それは思想的背景による運動でもなく、ただ一個人としてまた青年らしい反戦への熱意からだったといいます。兄ハンスを中心にショル兄妹はドイツのいたる所でビラをまきました。ユダヤ人虐殺の告発やヒトラーの矛盾さらには戦争の無意味さなど、聖書から老子まであらゆる思想書や哲学書を引用した内容です。ショル兄妹が抵抗運動をはじめた頃のドイツは、スターリングラードで敗走し、もはや敗色濃厚となっていました。多くの困難のなか活動は続いていましたが、やがてショル兄妹は逮捕されます。逮捕の予兆はその前からありましたが、2人はひるむ事なく活動し続けていたのです。

逮捕された兄妹は取調べにも毅然として応対し、けっして自分たちの考えを曲げることはありませんでした。すでに兄妹は処刑を覚悟していたのです。兄妹にとって何より重要なことは仲間の存在を明るみにしないことだったといいます。裁判では他の仲間のために減刑の嘆願を行うほどでした。兄妹にとって死ぬことは、その後のドイツの自由への礎となるためには当然のことだと考えていたのです。兄妹は最後まで取り乱すことなくむしろ悠然とした態度でした。兄妹にとって唯一信じられる拠りどころは信仰だったといいます。国でも社会でもなく、ただ聖書の言葉に率直に生きたのです。現在ではドイツの良心ともいわれるショル兄妹ですが、抵抗運動を離れた兄妹はまったく普通の学生でした。冗談や軽口を言い合い、仲間と文学を語り歌も唄いました。2人はただ若者らしい情熱で国や社会を変えようとしていたのです。

正直にまっすぐ生きたショル兄弟のあまりに純粋で高潔な生き方はただただ感銘を受けます。訳者のあとがきにも書いてあるように、ドイツと日本は当時同盟国であり、全体主義という意味では似ている状況でしたが、日本では一般の学生たちがこういった行動を起こすことはありませんでした。日本での当時の一般青年たちも国や社会に対して矛盾を感じていたにせよ、一部の共産系や労働系の活動家以外に実際に行動を起こすことはありませんでした。本書をただの戦時中の美談や英雄譚としてだけではなく、こういった両国の精神風土の違いなど現在にも通じる問題提起をしているように思います。さらにハンス25歳、ゾフィー22歳、あまりにも若い2人のように果たして自分が同じ状況なら死を覚悟してまでこのような生き方ができるだろうかと問いかけられているようにも思います。

白バラは散らず 改訳版―ドイツの良心ショル兄妹
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内垣 啓一

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posted by hermit at 11:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 伝記・評伝(本)

2009年01月06日

虚人寺山修司伝

この本は寺山修司が「寺山修司」という人物をいかに作り出していったのかということを、綿密な取材と作品の検証をもって書かれた本です。全体的な本の印象として、寺山の虚飾の部分をクローズアップしたかったのだろうと思います。

どおりで、これでもかと寺山のネガティブな部分を山のように出してきます。その取材力には舌をまきますが、この本には寺山に対する愛情があまり感じられませんでした。冒頭に書いたとおり、寺山研究の資料としては価値があるかもしれませんが、この本の寺山が真実の寺山とも思えません。

それに、寺山の死生観を決定付けたネフローゼによる闘病生活や母との確執の詳細などは、著者の意図なのか、ほとんど書かれていませんでした。ここまで寺山に対して愛情のかけらも感じられない著者が、なぜこのような本を書かれたのか疑問を感じてしまいます。寺山作品についての資料としてなら価値もあるのだろうけれど。

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白洲次郎占領を背負った男

戦後GHQをして「従順ならざる唯一の日本人」と恐れられ、礼儀とスジを通すことを重んじGHQ最高司令官マッカーサーでさえ叱り飛ばした日本人。育ちのいい生粋の野蛮人と呼ばれ、そして日本一かっこいい男、今や数々の伝説を残した男それが白洲次郎その人なんだそうです。

吉田茂に見出され日本国憲法、通産省設立、サンフランシスコ講和条約、その後の経済復興の影の立役者なのに、少しも名誉欲や権力欲がなく、プロジェクトを任されても、ある程度めどがたつとその座をすぐに後任にあずけ自分はすぐに自宅で百姓をする生活。

きっと引き際をわきまえた英国仕込みのダンディズムとプリンシプル(紳士の哲学)に従った生き方だったのでしょう。歴史にifはありえませんが、もし白洲次郎がいなかったら戦後復興はこれほどまでに進んでいなかったのかもしれませんね。読みごたえ十分な1冊でした。

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2008年11月06日

ナツコ 沖縄密貿易の女王

              文芸春秋 刊

              奥野修司 著

              2,250円(税込)


     〈内容の説明〉
      
      戦後の1946〜1951年、
      「ケーキ(景気)時代」と呼ばれる
      沖縄密貿易時代に、
      混乱、騒擾、欺瞞、陰謀に明け暮れながら、
      類まれな才覚と器量で颯爽と生きた女親分
      「ナツコ」を生き生きと蘇らせた
      評伝ノンフィクション。   

     (アマゾン:内容の説明より)

     
     〈感  想〉

      それは戦後の混乱の中でも沖縄に
      “夢”があった時代の記録。

      沖縄に鉄の雨が降りそそぎ、
      生きとし生けるものとその痕跡を
      すべて消し去った沖縄戦。

      地獄の戦争を生き抜いた人々は、
      食料も着る物も家さえもなかった。

      ましてや米軍に占領され、
      島どうしの行き来も制限されていた時代。

      必然的に男たちも女たちも
      密貿易に手を出した。

      米軍も黙認していた密貿易は
      沖縄に爆発的に広がり、
      本土ではその日の暮らしにもままならなかった時代に、
      現在に換算すれば10億とも100億とも言われる
      富を掴む者まで現れるようになった。

      その中で誰もが一目置いた密貿易の女親分それが
      “ナツコ”こと夏子だった。

      夏子は抜群の商才と先見性で
      数々の密貿易で莫大な利益を得、
      夏子のことを知らない者はいなかったといいます。

      また夏子は義侠心にあつく、
      困っている者には平気で自分の利益を分け与える
      懐の広さをもっていました。

      夏子を通して沖縄の戦後史、
      そしてその時代に生きた人々貴重な記録。

      大宅壮一ノンフィクション賞
      講談社ノンフィクション賞受賞作。

ナツコ 沖縄密貿易の女王―沖縄密貿易の女王 (文春文庫 (お28-2))
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奥野 修司

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旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三

              文芸春秋 刊

              佐野眞一 著

              1,835円(税込)


     〈内容の説明〉
      
      
      柳田国男以降、
      最大といっていい業績をあげながら、
      領域の広さゆえに座標軸の定まらぬ巨人を知己の証言、
      自筆恋文等から描く評伝


      (アマゾン:内容の説明より)

      
     
     〈感  想〉

      戦前、戦中、戦後と日本中を歩き続けた宮本常一は
      近代化する日本にあって忘れ去られようとする人々に
      常に寄り添い決して本流ではなく
      傍流から物事を見つめ続けました。

      その厳しくも優しいまなざしは多くの共感を呼び、
      柳田国男以後民俗学の最大の功績をあげたと言われます。

      そして宮本を物心両面において支え続けた渋沢敬三も
      優れた経済人であると同時に民俗学の発展を支えた
      高貴なるパトロンでもありました。

      貧困の中でも温かい家庭で育った宮本常一。

      日本資本主義の父と呼ばれた偉大な祖父の下で、
      身動きの取れないプレッシャーと学問を断念し、
      いやおうなしに祖父と同じ道を歩まざるをえなかった渋沢敬三。
  
      二人は当時主流であった柳田民俗学の中で、
      独自の民俗学の道を歩んでいきました。

      名誉や栄達を一切望まなかった宮本と
      敗戦の責任を背負い渋沢家の没落を甘んじて受けた渋沢。

      この日本にはかつて、誇るべき日本人、
      美しい日本人がいたという貴重な記録です。

      大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三
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風の男 白洲次朗

              新潮社  刊

              青柳恵介  著

              420円 (税込)


    〈内容の説明〉

     日本国憲法誕生の現場に立会い、
     あの占領軍司令部相手に一歩も退かなかった男。

     常に活眼を世界に注ぎつつ、
     わが道を行く天衣無縫の気概。
     物事の筋を通し、自説を枉げぬ強靱さ。

     と同時に、内に秘めた優しさ、
     しなやかさ、ユーモア。端正な面立ち、
     洒落た身なり、寸鉄の片言…。

     正子夫人をはじめ、
     この男に魅せられた人々の「証言」から蘇える
    「昭和史を駆けぬけた巨人」の人間像。
    

    (アマゾン:内容の説明より)


    〈感  想〉

     「葬式無用 戒名不要」
     生前、白洲次郎が語っていた言葉です。
    
     極力表に出ることが嫌いだった白洲は終戦後、
     どん底の日本の復興と主権の回復のため吉田茂のもと、
     数々のプロジェクトを影で支えた人物でした。その生き方は、
     誰に対しても一本スジを通す。

     それが日本の首相であっても戦勝国の最高司令官であっても
     変わることのない白洲の流儀でした。

     著者は生前の白洲と面識があったとのことで、
     この本についても妻の正子氏に依頼されたのが
     執筆のきっかけだといいます。
     それだけに、白洲の多くの肉声が紹介されています。
     時には辛らつに、時には英国仕込のユーモアをまじえたり、
     やっぱり歯に絹きせぬ痛快な物言いは、
     日本人として胸がすく思いがします。

     本人は嫌がるかもしれませんが、
     白洲の業績、その人柄などもっと
     再評価されてもいいんじゃないかと思ってしまいます。
     戦後政治についてもよくわかる一冊でした。

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