2009年12月08日

電池が切れるまで

著者様ならびにサイン本を献本して下さった某さんありがとうございます。本書はみやこしゆきなさんという小学生のお子さんの小児病棟での日々そして、ゆきなさんと過ごした小児病棟の子供たちの詩によって構成された内容です。本書のタイトルでもある死の4ヶ月前に書かれた「電池が切れるまで」という命の詩とともに、2004年にドラマ化されたこともあり、ご承知の方もおられるでしょう。

ゆきなさんは、神経芽細胞腫という小児がんの中では白血病に次いで多い病気で、ゆきなさんは11歳まで闘病していました。ゆきなさんの家は八百屋を営んでおり、4人姉妹の長女だったといいます。幼い頃から、言われることなく家事手伝いや末の妹の世話をするなど面倒見のよい女の子でした。病気が発見されるのは、5歳の頃です。両親思いのゆきなさんは、家の中でも病気が進行するまで足の腫瘍の痛みを我慢していました。後でご両親が知ることになったのは、家の中では家事や妹の面倒を活発に続けていたのに、幼稚園ではほとんど歩けず寝ていることが多かったというものでした。

入院することになったゆきなさんに、お母さんはつきっきりだったこともあり、ゆきなさんも病棟では明るく、病棟の患者さんに歌を唄って励ましたり慰めたりと、とても優しい女の子だったそうです。しかし、お母さんが帰ると布団の中でしくしく泣くこともありました。小児病棟ではこんなふうに、みんながお互いに支えあっています。それは、子供ながらにも生き死にを身近に感じていたためです。

手術とがんの転移を繰り返し、そんな中で小児病棟の仲間たちとの出会いと別れ、そして入院と退院で何度も死線を彷徨います。そんな中ゆきなさんは院内学級で詩を書きます。それが命の詩です。

ゆきなさんは最期を家で大好きな家族とすごすことができました。がんの痛みをモルヒネで抑えその代わりに見えるはずもない幻覚を見ていたほどです。最期は親戚の前でいつものゆきなさんらしく、みんなを笑わせ楽しく明るく過ごしました。短い家族との楽しい時間がすぎるとゆきなさんは、すうっと眠ってしまいそのまま旅立ってゆきました。

「命はとても大切だ
人間が生きるためにの電池みたいだ(略)
だから、私は命が疲れたと言うまで
せいいっぱい生きよう」

ゆきなさんの仲間たちの幾人かの人たちは幸い病を克服し、院内学級やゆきなさんの命の詩に勇気づけられ、それぞれ医師や看護士また院内学級の教師など目標に向かっていきました。ゆきなさんのように精一杯生きているのです。そしてゆきなさんの物語や詩は、今でもたくさんの人に読まれ、ゆきなさんの思いはは本の中で、また詩の中で今でも生き続けているのだと思います。

ゆきなさんは11年という短い人生をそれこそつらい病気の中で、そして電池が切れるまで、優しく朗らかに、大好きな仲間たちやお父さんお母さんそして可愛い妹たちと笑顔を絶やさず精一杯生きました。ゆきなさんは今でもご家族や仲間たちそして読者のなかに生き続けています。

・ファイト!小児がんプロジェクト

電池が切れるまで―子ども病院からのメッセージ
電池が切れるまで―子ども病院からのメッセージすずらんの会

角川書店 2002-11
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posted by hermit at 21:05 | Comment(6) | 障害闘病記(本)

2009年01月05日

心が壊れてしまった娘と

とても心にズシリと感じる重い内容でした。著者であるお母さんと、うつ病とリストカットに悩む娘さんの闘病の記録です。

とても素直で、手のかからない優しい子供だった娘さんは両親の不仲と生来からのまじめで几帳面な性格からストレスを1人で抱え込んでしまう性格の女性でした。やがて仕事上の人間関係、たび重なるストレスなど、誰にも相談できずやがてそれは自分を傷つけることで癒しを求めるようになります。

私は他人事として読むことはできませんでした。常に他人に気を使い、几帳面に仕事をこなし、一方で家族も大事にするような人は、誰にでも当てはまると思います。しかし何より病んでしまった娘さんを最後まであきらめず見守り続け、娘さんも少しずつですが希望を捨てなかったことが幸いしたのだとおもいます。

多くの患者さんが発病し多くのものを失ってしまい絶望してしまうことが多い中で、少しでも社会で生きていきたいと願うことは大きかったとおもいます。いつか苦しかったことが、良い思い出になることを思わず願ってしまいました。

心が壊れてしまった娘と
心が壊れてしまった娘と宮坂 栄


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posted by hermit at 12:41 | Comment(0) | 障害闘病記(本)

瞳スーパーデラックス 13歳のがん闘病記

13歳という若さで、骨肉腫(ガン)を発病して亡くなった少女の闘病記です。絵本のような作りで、たくさんのイラストと彼女の生きた記録と、彼女が中学2年生当時に書いた作文で構成されています。タイトルは彼女が闘病生活の中で考えたという、この世の中から全ての病気を無くすための薬がヒントとなっています。

自らの病気を真摯に見つめ、生き続けることをあきらめなかった彼女は、命の重さや大切さを、自分の限りある命の中から人々に呼びかけています。ただ彼女自身の言葉が少ないし、あとはイラストだけなので、両親の彼女に対する想いだけでなく、彼女自身の思っていることや考えたことをもっと知ってみたかった。

あとこの本全体に見られるイラストも前衛的なもので、芸術のセンスのない僕には今ひとつ分かりにくいものでした。無理な注文ですが、もっと彼女の生きた言葉や病気や自分の命に対する率直な意見を聞いてみたいと思いました(無理な話かも知れませんが)。

瞳スーパーデラックス―13歳のがん闘病記
瞳スーパーデラックス―13歳のがん闘病記
猿渡 瞳

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posted by hermit at 12:37 | Comment(0) | 障害闘病記(本)

こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち

よくある闘病記などとは違います。鹿野さんがボランティア一人一人と本当に体をはって生きた記録。読み進めていくうちに、そんな鹿野さんの不思議な人としての吸引力というか、この人の力になりたいっていうような、人柄を感じてしまいます。

しかし鹿野さんて人はスゴイ!の一言です。本当に介助のどれを取っても命にかかわるものですからワガママ、命令は当たり前、気に入らないボラには、容赦なく「帰れ!二度と来るな!」ですからね。

ボラとは純粋なだけの人間集団なのではなく鹿野さんもふくめ、ときには危ういドロドロとした、ひどく微妙な人間関係の世界なのです。

理想や社会貢献とかそんな希望をもって参加するボラの多くが現実についてゆけず辞めてゆくとか、しかし人生を変える出会いがあるのも事実です。きっと難病を抱え、社会や行政との戦いと挫折。多くの出会いと離婚経験そんな苦渋の人生が鹿野さんの反骨と自由を求める生き方なんだったと思います。

こんな夜更けにバナナかよ
こんな夜更けにバナナかよ
渡辺 一史

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posted by hermit at 12:29 | Comment(2) | 障害闘病記(本)

降りていく生き方 「べてるの家」が歩む、もうひとつの道

現在では社会福祉法人となり年商1億円を売り上げる「べてるの家」は、地元浦河町とも連携し、理事長以下常務理事、事務局長などの要職も、患者さんが勤めるという、福祉の世界の中でも画期的な施設運営をしています。

競争させられ、管理され、歯車の一部になることで人間性を削ぎおとされ、その結果、生きづらさ感じてきた患者さんが大勢います。そしてべてるの家がたどり着いたのが「降りていく生き方」でした。人間は死に向かって降りていく存在でもあるのだから、人間らしさを損なう不必要なものを身につけることをせず、淡々と、ありのままを生きていく、そして悩みを回避するのではなく、悩みを悩みとして受け入れる。

それが、べてるの家の考え方であり、回復への道のりでした病気は「個性」。そして病気はかけがえのないものかもしれない、べてるの家の人々にとって病気とはかけがえのないものになった。病気は、「人生」の代名詞でなくてなんだろう。

降りていく生き方―「べてるの家」が歩む、もうひとつの道
降りていく生き方―「べてるの家」が歩む、もうひとつの道
横川 和夫

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posted by hermit at 12:27 | Comment(0) | 障害闘病記(本)

卒業式まで死にません 女子高生南条あやの日記

私はこの日記を読んでいて言い知れぬような不快な気分になりました。学校でのイジメや家庭環境など彼女は苦しめられたのかも知れませんが、それは彼女だけが特別ではないと思います。

日記を読んでいるといたる所に「この薬は良かった」「きかなかった」「ハイになる」などの単語が並んでいます。何だか薬を合法ドラッグか何かとかん違いしているみたいです。

彼女は私のような者と違って少し変わった個性と文才があったようですが、それ以上でもそれ以下でもありません。彼女のような人はあたりを見まわせばいたる所にいます。彼女を救えなかったのかと考えることもできますが、何より彼女には救って欲しいというか、病気を治したいという気持ちは持っていなかったのだと思います。

だから彼女以外の誰も責めることはできないと思います。逆にこの日記を読んで彼女に共感したり信者と呼ばれるものになったりする人が多いということが今の社会の病理を浮き彫りにしているのだと思います。

卒業式まで死にません―女子高生南条あやの日記 (新潮文庫)
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南条 あや

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posted by hermit at 12:01 | Comment(0) | 障害闘病記(本)

僕のうつうつ生活 疲れた心の休ませ方

鬱病にかかったフリーライターの手記。まず鬱病が治る病気だと書かれているのが心強いと思いました。鬱病は心のカゼとも呼ばれる病気。著者も最初は仕事に忙殺されながら、鬱とは気づかずかなり治療が遅れ悪化しています。

その後も良くなったり悪くなったりの繰り返しですが、感心したのは奥さんの献身的な支えがあったことです。鬱病は家族の支えと理解が不可欠な病気だと思います。どんな小さな悩みも人生最大の悩みに感じるのが鬱の特徴です。

鬱を体験したこそ分かるような事が書かれており、私の悩みなどたいしたことないな〜なんて思ってしまいました。経験者もそうでない人もなるほど納得と読める本だと思います。

僕のうつうつ生活 (知恵の森文庫)
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上野 玲

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こんなツレでゴメンナサイ。
「うつ」は、ゆっくり治せばいい!
日本人だからうつになる (中公新書ラクレ)
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posted by hermit at 11:55 | Comment(0) | 障害闘病記(本)
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