2010年10月23日

【コミックエッセイ】わが家の母はビョーキです2家族の絆編@中村ユキ

統合失調症で30年以上の闘病生活をほのぼのタッチで描いたマンガの第2弾です。本作は第1弾と比べてより母本人よりも家族のほうに焦点を当てた内容となっています。

前作のおさらいをすると、母子家庭で育った著者の視点で母の発症から陽性症状を経て様々な社会資源と出会うことで母の回復に兆しが見える場面で終わっていました。著者の母は発症から長期間医療につなげることができなかったために病気が重くなってしまったのは否めないところですが、著者はまだ幼く勿論病気の知識などなく、宗教やまたその他の民間療法に頼るが母の行動がエスカレートするに及び著者は医療の門を叩き、地域の様々な社会資源を活用することで光が見えてくるところまででした。つまりは発症から急性期をどう乗り切ったかを描いています。詳しくは下の1巻を読むことをおススメします。

わが家の母はビョーキです
わが家の母はビョーキです

ここで紹介する2巻では母の消耗期さらに慢性期と共に、著者の結婚という事態で家族にも様々な新たな難題が浮かび上がります。著者の下積み時代にマンガのアシスタントとして出会った今の夫は、現在は介護福祉士として幸いなことに福祉や介護についても理解がありました。婚約から結婚当初は母の病気のカミングアウトで悩んだということでしたが、夫はそれに理解を示し、同居もしてくれている。もちろん母のほうは新たな家族で動揺もみられましたが、そこは夫の的確な対応と著者の工夫で乗り切ります。何より今までの苦労や苦悩が夫婦という形で共に分かち合えるという喜びに著者は何度も夫に感謝したとか。
これは同じ統合失調症患者を持つ家族にとっては良き参考書になると思います。前作と同じくマンガのみならず様々な文献や参考資料も豊富となっています。以下に著者が書く、再発防止10か条がありましたので、引用させていただきます。

※わが家の再発防止10か条※

1.キチンと服薬しよう!
2.睡眠がとれているか確認しよう
3.ライフイベントには要注意(冠婚葬祭など・拙ブログ注)
4.疲れる前に休む!
5.体調が悪いときにはスグ受診!
6.病気の波を知ろう
7.お互い干渉しすぎない(いい距離感)
8.家族のストレス緩和を重視する
9.あせらずにゆったり構える
10.思いやりと共感と感謝をもつ


1巻では統合失調症を持つ患者に対しての対応ということに重点が置かれていましたが、2巻ではより踏み込んで家族としての統合失調症をもつ患者に対するアプローチが具体的に描かれていました。続編を期待するなら個人的にではありますが、育児や子育てをする中で、統合失調症をもつ家族の対応などを読みたいものだと期待しますが、こればかりは著者のみぞ知るというとこでしょう。

数ある統合失調症ケアに関する文献の中でも読みやすく参考になる一冊でした。

(参考)朝日新聞書評漫画偏愛主義:わが家の母はビョーキです(中村ユキ)

わが家の母はビョーキです 2 家族の絆編
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2010年03月18日

【漫画】ブラックジャックによろしく精神科編@佐藤秀峰

下記四冊の漫画は精神科について描かれている。漫画ではあるが現在の精神医療と患者の現在がよく表現されていると思う。アマゾンのレビューにあるとおり、エンターテイメントとして描かれている部分もあるが、よくまとまっているだろう。ちなみに予断だがこの漫画作者が取材した病院を私は個人的に知っている。知っているとは知り合いが入院している長崎市内の病院なのだが、登場人物たちもその病院の医師や看護師がそのまま描かれており、間取りや病棟の様子もそのままなのでまた違った面白さがある

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2009年10月10日

【泣ける統失マンガ】わが家の母はビョーキです

知人にいただいて読んだマンガです。本書は精神障害のひとつである統合失調症の母と娘の物語ですが、この病気を分かりやすく理解するにはうってつけだろうと思います。マンガといっても著者中村ユキ氏の実体験が書かれており、それだけに迫真のこもった内容となっています。

まず統合失調症とは100人に一人が発症する意外にポピュラーな病気であり、日本全体では75万人ほどの患者が存在しています。しかし、自ら病気のことを告白することは長年よりの社会的な偏見や困難にさらされているため、この病気のことはあまり知られていません。

本書ですが、著者の母は著者が4歳の頃に統合失調症を発症したといいます。本書ではその原因を働かずDVとパチンコ依存に陥った父親よりのストレスだとしています。その頃より母は時々意味不明な言葉を口走りあるいは自殺企図を行い、一時は精神科へと受診することもあったそうです。しかしその後も母の病状は変わらず、途中父の影響でパチンコ依存になったり薬の服用を中止し再発するなどの繰り返しだったといいます。

父と離婚することはできましたが、著者は誰にも相談できず、母のほうも精神科の診察では元気そうなふるまいで病気を隠し、その結果自己の病状に合う薬を処方してもらえないということも起こっていました。時に母は幻聴によって刃物を振り回し死にたいと口走るなど、もはや著者には対応のしようがなかったといいます。もてあました著者のも母のためにオカルトや宗教に助けを求めようとしますが、当然ですが一切効果は得られなかったそうです。

その後著者は成長し就職するのですが、それでも母のことで仕事がうまくいかず、漫画家として活動している間も母のために常時困難がつきまとったとか。一時は母もデイケアなどに参加しますが、そこも長続きせず母の社会的ひきこもりは続いていくことになります。

そしてこの母子にとって真の助けになったのは地域生活支援センターでした。そこでは同じ病の参加者たちや相談員による家族のケアもなされていたといいます。著者ははじめてそこで統合失調症が脳の病であり治る病気だということを知るのです。母も参加者たちと仲良くなり様々な活動を通してそれまでみられなかった意欲もわくようになります。著者のほうも母への対応方法や社会資源について相談にのってもらい母子にとってはこれがひとつの大きなきっかけとなるのです。

そしてもうひとつのきっかけが著者の結婚でしょう。マンガのアシスタント時代に知り合い現在は介護福祉士として働く夫の母への理解です。著者は母の病をひとりで抱え込む必要が無くなったことと、母も著者の夫に好意的だったことが幸いしたとか。さらに夫ののんびりとした性格と職業柄こういった母のような状況の対応に慣れていたことも幸いしました。また母子のたった2人に夫という第3者が入ることでずいぶん家庭が明るい雰囲気になったといいます。

総じて統合失調症のような病気について知識のある者にとっては、ある種その苦労や悩みその後の救いに感動を禁じえない場面も多数あります。著者はあとがきで母の不穏な行動を漫画化することで偏見が助長されないかという不安を抱いたといいます。ですが、100人に1人のポピュラーな病気にもかかわらず知られていないことや、この病気が治療によって回復できるものだということを知ってもらうために漫画化を決意したといいます。そして早期発見と早期治療が大切だとも付け加えています。

不幸にも著者の母は長年有効なケアが受けられず、人生の大半を病に失われてしまいました。著者も母から刃物を向けられたりするなど母と共に死ぬことさえ考えたといいます。だからこそ自身の体験を知ってもらうことで、同じ不幸を読者たちに繰り返させず、また病気について理解してほしいという思いがあったそうです。

160ページほどの単行本ですが、読みやすくまた統合失調症についての簡単な解説がなされており、この病気について理解してもらうにはとてもいいと思いました。著者にはこれからも漫画家としてご活躍を期待したいと思いますし、お母様にも良き人生取り戻してほしいと思いました。

わが家の母はビョーキです
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2009年01月04日

神様日記 僕の精神病院騒動記

自分は救世主だと悟ってしまい、そして布教と称した失踪を繰り返し統失の診断を受け、精神科へ入院してしまった著者のノンフィクション。

一読して精神科に入院した時のことより入院までのいきさつ、いかに自分が悟りを開いたのか救世主たる私の考えが切々と語られており、ある意味健常者のみなさんには妄想というものがどういうきっかけで始まり、それがどうやって確信に変わっていくのかの過程がわかって興味深いと思います。

病棟内については、著者はほとんど患者との関わりはなく、食事の事や医者とのやりとりなどしか触れられておらず、物足りなかったです(ある意味病棟内の人間関係ほど面白いものは無いと思うんですが)。

何よりこの著者は薬を勝手に止めたり減薬したりし、恐らく病識もほとんど無いと思われ(そういう所が時折みられます)家族と別居し会社を捨て今はフリーライターをしているといいます。文体は軽めですぐに読めました。

神様日記―僕の精神病院騒動記
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竹 友輔

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「閉鎖病棟」日記 ここで一生を終えるのもわるくない

入院となったいきさつや著者の性格にはあまり共感できないとは思うんですが、閉鎖病棟という所の雰囲気を知ってもらうには良いと思います。入院から退院までの日々の出来事や季節ごとの行事までが細かく紹介されています。著者が入院していたのが97年当時で、私と同じ時期に入院していたためか院内の出来事や患者さんたちの様子など私の経験とかさなって読めました。

著者は閉鎖病棟で一生すごしてもよいと語っていますが、やっぱり精神病院という所は長くいるもんじゃないと思います。私も入院中は色々と私物を盗まれたり、喧嘩に巻き込まれたり必ずしも良いことばかりではありませんでした。(結構そのスジの人たちも多く入院していましたから)しかし入院中に牢名主さんみたいな友人が1人でもいると違います。

院内の患者さんたちのことなど興味深い話しが聞けるので面白いと思います。一方で一切他人と関わらないで生活を送ることも可能なんですけどね。私にとっても閉鎖病棟は良しにつけ悪しきにつけ思い出深い人生勉強になったと思います。

「閉鎖病棟」日記―ここで一生を終えるのもわるくない
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浜崎 一郎

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精神病棟からの(への)訴状 私の闘病記 精神分裂症発症から回復までの全記録

10代で統合失調症を発病した著者が、
自身の闘病体験を赤裸々につづっています。

著者が思ったままに書きつづった内容だけに
話が前後したり、内容がそれてしまったりした所が
多々ありましたが、まだ精神病院が
劣悪な環境だった時代の出来事や、
どうやって統合失調症から回復し
社会復帰をはたしていくかの過程は読んでいて
引き込まれてしまいました。

入院した精神病院での恐るべきロボトミー手術の実態や
治療者側との患者たちの確執。

そんな中でも著者は社会復帰への希望を捨てず、
何度挫折しても働くことをあきらめませんでした。
多くの仕事を経験し、やがて病気も快方に向かい
現在はそれまでの貯金と親の援助で
喫茶店を営んでおられるそうです。

病気だということで、後ろ指を指されることもあった中で
どうにか社会の中で自分の居場所を模索し
そしてそれを探し当てた著者に
共感と同時に希望を持つことの大切さを感じました。

精神病棟からの(への)訴状―私の闘病記 精神分裂症発症から回復までの全記録
佐治 正昭

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ウィー・アー・クレイジー!? 「統合失調症患者」が語る胸のうち

統失の患者さんの話しをライターの著者が聞き書きした本。

幼い頃から両親姉妹との確執のため、
孤独ですさんだ少年時代を過ごした著者。

20年前のある日大学受験の1週間前の頃、
教科書を見ても字が追えず何をしても落ち着かなく、
とにかく自分が自分でない感覚、家族や他人が恐ろしくなり、
部屋に閉じこもってしまったのが発病の発端だといいます。
一読してよくここまで書けたな〜と素直に驚いてしまいました。
20年前とはいえ、デイケアや作業所のことなど
仕事内容から人間関係まで詳しく、
遠目に見るくらいしか知らない私は初めて知ることが多かったです。

障害のため仕事を転々としそれでもなお仕事に憧れをいだき、
幸せな家庭や人生を夢見る者、
せっかくのチャンスも長くは続かず自己嫌悪に落ち込む者、
自殺する者・・・。

同じ障害でもそこには幾多の人生が
あるのだということをこの本で知ることができました。

ウィー・アー・クレイジー!?―「統合失調症患者」が語る胸のうち (ニッポン聞き書き選書 (2))
ウィー・アー・クレイジー!?―「統合失調症患者」が語る胸のうち (ニッポン聞き書き選書 (2))佐々 英俊

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