2010年02月02日

【論壇誌】正論(2010.03)炎上!小沢民主党

昨今の鳩山首相と小沢民主党幹事長の不祥事に伴うように、オバマ民主党の日米両方とも与党支持率が半数を割り込みました。今月の正論は保守本流論壇陣による小沢糾弾特集が組まれています。自民が下野してからというもの、正論もどこか元気がない内容が目立っていたのですが、今回のように数字がはっきりと示すようになると、正論も水を得た魚のように、ここぞとばかりに与党への追及にも本腰が入ってきたようです。

いつかこのブログにおいて、民主への批判は自民へのブーメランだと書いたことがありますが、今回ばかりはそうでもないようです。当の小沢・鳩山の政治と金の問題は、先にマスメディアで報じられている通りですが、今回は特に民主党の要である小沢一郎幹事長に焦点を当てて追及がなされています。

ひとつはかつて小沢氏と共に自由党で活動していた西村眞悟氏による小沢氏の政治姿勢、そして中国との関わり、そして先ごろの習某氏と天皇陛下との会見等、小沢と中国の急接近など、正論にいわせれば政治と金以前の小沢氏の歪んだ政治姿勢にその批判は向けられています。

正論の主張する小沢氏の思惑というのは、日本と中国が接近することにより、その反動で米国を揺るがし、それをもって日本中国アメリカの三角関係の均衡をとろうとしているのではないかとしています。確かにこの考え方自体には正論も一概に反対ではないようです。つまりは、正論がいうところ改憲や安全保障での自立という筋立てがあってこそ対等な日米関係ができるというのが本筋であって、民主党のやりかたはいささか性急すぎるし、また強引過ぎるとしています。

ただ、今回の正論はただ民主党を非難するばかりでなく、民主党に期待する部分もあるとしています。それは拉致問題に対してです。旧与党自民は拉致問題を長年にわたり、表面化させずさらには隠そうとまでしていたところがあります。ここ10年ほどの間にようやく拉致について議論がなされるようになったにも関わらず、小泉訪朝以来自民政権では、進展がみられませんでした。しかし、今回民主党は拉致問題対策本部の予算をこれまでの倍の12億4000万へと増額しています。さらには、拉致問題の担当大臣が国家公安委員長との兼務という大きな権限をもてるようになっていることは評価しています。しかし、ここでも小沢という懸念があるのも事実。下手にこの問題に触れて、これまでの日中の外交成果を台無しにしたくないという小沢氏の思惑が見え隠れしているとしています。

さて、他にも宮崎哲弥氏の経済記事もあり、なかなかに読み応え十分の内容でした。ただ寂しいのが、毎回おっかなびっくりで読んでいた「NHKウォッチング」が休載してしまうことです。この連載は正論の中でもかなり過激に飛ばしていた記事なので、少し残念です。12月号に再開するそうですが、一体何があったのでしょう。この欄は某大学教授の先生が書いていたのですが、何かあったのか勝手ながら心配しています。

最後に「NHK特集Japanデビューアジアの“一等国”」の訴訟について、NHKのリスク管理の責任者が関係者会議で発言したという内容が暴露されていました。


「この問題でNHKの周りでデモ行進などして騒いでいる連中がいるが、これはネット右翼と云われる暇な奴らが、あるCS放送局がyoutubeで流している番組に踊らされて騒いでいるだけだ。何の考えも持っていない連中がゲーム感覚で面白おかしく騒いでいるだけ。このCS放送には田母神なんぞと云う男が頻繁に出演しており、どのような思想の連中が集っている放送局かがわかるというもの。はっきり云ってNHKは何も悪いことなどしていないし全く悪くない。一般の会社なら潰れることもあるだろうが、NHKは絶対に潰れない」


あらあら責任者さんたら、内部の会議だからって訴訟にもなっている事柄をこんなに言っちゃって大丈夫なのかしらん。すっかり内通者がいるとも知らずに本音なんか喋っちゃって。一体どんなリスク管理責任者さんなんでしょ。

正論
/~\Fujisan.co.jpへ

web拍手

posted by hermit at 04:13 | Comment(0) | 論壇誌正論

2010年01月05日

【論壇誌】正論(2010.02)

正論今月号は巻頭に櫻井よしこ氏の「国難の年に試される覚悟」と題した論文が掲載されています。さらに阿部晋三氏の「古人の跡を求めず、古人の求むる所を求めよ」と題したインタビュー、また「明治日本の『胆力』に学ぶ」と題した4人の論客によるワイド特集など、新年を向かえ、より保守回帰を現役政治家や歴史から訴える姿勢を鮮明にしています。


ここで今月号で特に注目したい記事をいくつかご紹介したいと思います。一つが、次のワイド特集「民主党の許されざる八つの嘘」と題した田村重信氏の記事です。一部過激な副題がつけられていますが、その八つの嘘を簡単に列挙すると以下の通り。

【その1】生活が第一の虚構
民主党が最も訴えていたマニフェストでありスローガンは「国民の生活が第一。」というものです。ここで筆者は鳩山首相の国際公約である、日本の温室効果ガス25パーセント削減が国民生活を圧迫するとしています。政府のタスクフォース(有識者会議)が、25パーセント削減の目標実現のためには最大で一世帯あたり76万5千円の負担になると試算をまとめました。しかし、それで慌てた政府はその内容を非公表にしようとする始末だったといます。さらには、タスクフォースのメンバーが民主党の意向に沿った“嘘”の試算を出してくれないとぼやいて「(メンバーを入れ替えて)鳩山政権と応援してくれる皆さんと再試算したい」(小沢環境相)といったことを発言するなど、本当に生活が第一なのかと思わせることがあったといいます。

【その2】消えた年金公約
民主党は「『消えた年金』『消された年金』問題の解決に、2年間、集中的に取り組みます」「年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現します」とのマニフェストでしたが、平成19年の前回参院選のマニフェストにあった「年金基礎部分へ消費税を全額投入」するとして6.3兆円もの所要額を明記しましたが、今回の衆院選のマニフェストには一切書いていませんでした。前回マニフェストでは、新規主要政策の所要額は、年金への投入額6.3兆円を含めて15.3兆円。これに対して今回のマニフェストは、投入額を含めずに16.8兆円。もしもこれに消えた6.3兆円を足せば20兆円をはるかにこえることになり、これは明らかに実現不可能になってしまいます。また今回のマニフェストには「年金制度創設のための法律を平成25年までに成立させる」として具体策がありません。消えた年金とともに公約まで消えていると書いています。

【その3】財源は絵に描いた餅
民主党は再三「税金の無駄遣いを徹底的になくせば必要な財源は確保できる」としていましたが、来年度当初予算の概算要求額は95兆円に上り、無駄を無くすどころか積み重なっていることが明らかになっています。赤字国債は44兆円を超えて、税収を上回ることはほぼ確実です。国債発行額が税収を上回るのは敗戦直後の昭和21年以来、63年ぶりの異常事態です。

【その4】口先だけの脱官僚
民主党のマニフェストでは「税金は、官僚と一部政治家のものではありません。税金のムダづかいと天下りを根絶します。天下りのあっせんを全面的に禁止します。」しかし実際は、郵政株式会社の社長人事で、元大蔵事務次官の斎藤次郎氏が起用され、人事院の人事官に元厚生労働事務次官の江利川毅氏が起用されました。鳩山政権は両氏の起用について、「政務三役や官僚OBによるあっせんは天下りではない」と弁明しています。

【その5】説明責任は何処へ
鳩山政権発足から年を明けた現在まで党首討論が行われず、政治とカネについてはついに行われませんでした。理由は明白で、鳩山首相自身の違法な偽装献金疑惑について追求を逃れるためであるとしています。鳩山首相は過去、政治とカネの問題について「議員の分身と言われている会計責任者の逮捕は議員本人の責任。改めて(議員辞職を)強く求める」「政治家は金銭に絡む疑惑事件が発生すると、しばしば『あれは秘書のやったこと』とうそぶいて、自らの責任を逃れようとしますが、とんでもないこと。秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべき」と発言しています。また7年前に自民党の加藤紘一元幹事長の秘書が脱税の疑いで逮捕された際には、こう言い切っています。「もし、鳩山由紀夫の秘書が同じことを行っていたとすれば、私はすぐに国民の皆さんに謝罪を申し上げ、国会議員バッジを外す」と。その後、加藤紘一議員は議員辞職していますが、現在の鳩山首相は過去の自らの発言を省みる必要があるとしています。

【その6】非礼極まる対米外交
普天間問題で二転三転する鳩山政権ですが、岡田外相就任当初、嘉手納統合案を持ち出した岡田外相ですが、最近は疲労困憊の態に見えます。さらに民主党は「対等な日米関係」作りに腐心する一方、中国に対しては「従属」と言っていいほどの卑屈さを隠そうとしません。小沢幹事長ら600人の大訪中団が北京入りし、胡錦濤国家主席と会見するなど、朝貢外交ともいわれています。

【その7】弄ばれた沖縄県民
日米両国は十年以上かけて代替施設を検討し、キャンプ・シュワブの現行計画に合意しました。この合意をめぐって忘れてはならないのは、県内移設容認という苦渋の選択をした沖縄県知事と、職を賭してまで国策に応じようとした名護市長の英断であり、両者を支持した心ある沖縄県民の思いです。移設に伴い、沖縄駐留の米海兵隊約8千人がグアムに移転することになっています。逆に現行計画が白紙に戻れば、「米海兵隊のグアム移転もないし、沖縄での兵力縮小と土地返還もない」とゲーツ米国防長官は発言しています。「県外か国外へ」という夢を一度見せられた沖縄県民の心を、再び現実に呼び戻すことは容易なことではありません。現行計画が白紙に戻れば、米海兵隊のグアム移転や在日米軍再編も一瞬にして頓挫することになります。

【その8】鳩山不況の悪夢
民主党のマニフェストには具体的な経済対策が全く書かれていません。実際、政権交代と同時に景気低迷に拍車がかかりました。鳩山政権は雇用対策に力を入れるふりはしますが、企業対策なき雇用対策などは成立しません。さらに自民党時代の補正予算を、執行停止にしたことで2%もGDPが落ち込むといわれています。実際、日経平均は鳩山政権発足から下げ基調で、事業仕分けが始まると下落幅が加速しました。市場はとっくに鳩山政権を見放したともいえます。

少々過激な部分もある論評ですが、引け目に見ても一面では的を得た論文だとも思います。さて、【その8】で鳩山政権の経済政策について書かれていましたが、次はその経済政策について書かれた論文をご紹介しようと思います。

「緊急提言―デフレ脱却への処方箋〜日銀に量的緩和を再開させよ」とする、専修大学の野口旭教授の書かれた論文からの一部です。

政府は昨年11月20日、ついに「デフレ宣言」を行いました。NYダウが11月に入って年初来高値を更新し続けるなど、世界経済が不況の震源地であるアメリカも含めて回復する中で、日本経済は唯一、回復から取り残されています。結論をいえば、こうなることが分かっていながら、マクロ経済政策を適切に実行してこなかった政府(自民党と民主党)そして日銀に責任があるといいます。デフレ脱却に必要なマクロ経済政策を遂行する上において、最も大きな障害となっているは、金融緩和をひたすら忌避し、量的緩和への復帰を避けることのみを唯一の目標にしている、現在の日銀です。

しかし、民主党は、そこにも一定の責任を負っています。福田自民党政権の弱体化につけこみ、この危機にさえ無為無策を決め込むような現在の日銀執行部を押し込んだのは民主党だからです。民主党マニフェストで一般に注目を集めたのは、子供手当て、高校の実質無償化、農業の戸別所得補償、高速道路の無料化等々です。これらはすべて、所得再分配政策という範疇のものです。

03年3月の日銀総裁の選定において、小泉首相は、「デフレ克服を実現できる人物」として福井俊彦元日銀副総裁を日銀総裁に指名しました。その福井新日銀総裁は、量的緩和を渋り続けた前任の速水優総裁とは対照的に、少なくとも就任当初は積極的に量的緩和を推し進めました。他方で財務省は、03年秋から始まった円高を抑制すべく巨額の為替介入を実行し、それを円高が収まる04年春まで継続しました。そして福井日銀は、その為替介入をサポートすべく、さらなる量的緩和を実行しました。そして日本経済はその後、金融緩和と円安による外需拡大を背景に、「いざなぎ越え」と呼ばれる景気回復を実現することになりました。野党時代の民主党が、この路線へのアンチテーゼとして好んで用いたのが、「構造改革による格差拡大」論であり、「低金利政策の弊害」論です。

リーマンショック以降の世界不況の最大の特徴は、その後の需要の縮小があまりにも急激であったために、中央銀行による大幅な金利引き下げが必要となり、結果として多くの国で金融政策の基本手段である金利政策の自由度が失われてしまったといいます。各国の政策金利がその下限に貼り付くという事態は、日本を除けば、ほぼ史上初だとか。各国はそのため、金融緩和を継続しつつも、それまでは休眠状態にあった景気回復のもう一つの手段である財政政策に眼を向けました。これまでは景気が悪けければ、利下によって何とかなっていましたが、今回はそれでは足りず、財政政策に回帰せざるを得なくなっていました。

政府の新たな財政支出には国債発行が必要であり、それは結局将来世代の負担増を意味します。しかし、中央銀行が同額の国債を購入し通貨を発行すれば、その国民負担は永久に消え去ります。その国民負担が永久に消え去るとは、政府が債務を負うのは民間ではなく中央銀行が国債購入によって量的緩和を続けさえすれば、政府は財源の心配をすることもなく支出を拡大できます。中央銀行も含む政府は本来、シニョレッジ(通貨発行権)という有力な「財源」を持っているからです。社会は通貨を必要とし、その必要量は経済の拡大に伴って趨勢的に増加します。通貨を民間に供給するには、政府が民間から財貨サービスを購入するなど、何らかの手段で政府が「ばらまく」必要があります。財政政策とは、その「ばらまき」の方策のことです。福井時代の量的緩和にどの程度の効果を認めるかは、難しい問題ですが、その不十分な量的緩和でさえ、いざなぎ越え程度の景気回復を実現することはできました。他方、ハイパーインフレやキャピタルフライトなどは、その兆候さえ生じていなかったといいます。

ここで大きな足かせとなっているのが、白川方明総裁率いる現在の日銀です。白川総裁がその地位に就いたのは、日銀内の代表的反量的緩和派だったからです。前任の福井総裁が就任して矢継ぎ早に量的緩和を拡大した時、それに反対したのが、当時は日銀理事の白川現総裁でした。皮肉にも、民主党は今、その白川日銀に足を引っ張られています。


などなど2010年最初の正論は、保守回帰への論文等もそうですが、経済政策についても具体的な提言をするなど、意欲的な内容でした。他にもここでは紹介できないくらいの総選挙間近の台湾ルポや在日外国人参政権問題また現政権に対する各論評、さらにコラムや連載等も充実した内容でした。

正論
/~\Fujisan.co.jpへ

web拍手

posted by hermit at 23:09 | Comment(0) | 論壇誌正論

2009年12月12日

正論(2010.01)

特集は独占手記と題して台湾から日本へ先頃帰化した、評論家金美齢氏の手記です。金氏は台湾の李登輝総統の側近として、また戦後まもなくは台湾民主化の工作員として国民党と戦っていました。長らく台湾当局より入国拒否にあい、日本と台湾2つの祖国の狭間で、日本の帰化を選んだといいます。また戦時中や国民党による一党独裁時代、そして民主化に至るまでのことが詳細に綴られています。

さらに、中国の軍事パレードを軍事評論家が取材した特集では、旧式の中国軍の兵器が着々と最新式に入れ替わっているそうです。今までの中国軍は戦略核に力を入れていたため、通常兵器はソ連の払い下げなどの旧式でしたが、それが中国独自に開発したものも含め様変わりし、自衛隊の兵器に勝るとも劣らなくなっているということで、安全保障的な面で懸念が深まる内容でした。

他に今上天皇陛下御在位二十年ということで、神武天皇からの皇統や歴史についての特集もなるほどと読みました。悪政をしいたといわれる後醍醐天皇に対し、最期まで忠誠を誓った楠正成から、江戸幕末の思想家たちが臣民とはなんぞやという、難題を克服する歴史的経緯など興味深い内容でした。

次に在フランス邦人の女性による報告によるとNHKによる、日本ネガティブキャンペーンは外国まで及んでいるとか。フランスではNHKが貸し出した第2次大戦資料映像を使った番組が評判になっていたそうです。そこには日本によるいわゆるバターン死の行進や南京事件など中国人らしき人たちで再現ドラマを作るなどして、戦争犯罪が誇大に描写された内容だったといいます。在住フランス邦人の執筆者は、これでは日本人の印象が悪くなり危険で外も歩けない、それほど歴史認識また残酷描写などひどい内容であったとしています。

他に正論では、毎回のように弾圧の続くチベットやウイグルに対する独自取材に感心します。今回は中国で発禁となった文革時代のチベット弾圧を書いたチベット出身の学者について書かれています。文革では中国国内のみならず、こうした少数民族の自治区の民衆のみならず僧や宗教施設にまで徹底的な弾圧や破壊が行われたそうです。また漢民族の流入によってこれら少数民族の民族浄化も行われていることも周知の事実です。

政治についての特集については、発売が月初めということもあり、現在の普天間基地移設問題や経済問題などには言及されていませんが、総じてここに挙げた特集などは読ませるものがありました。

正論
/~\Fujisan.co.jpへ

web拍手

posted by hermit at 09:30 | Comment(0) | 論壇誌正論

2009年11月08日

【保守再興へ】正論(2009.12)

今回の総力特集は「鳩山総理よ、その『友愛』が日本を衰亡させる」とした記事。
まず目をひいたのは4点です。

ひとつは、鳩山連立政権が成立させようとしている「人権擁護法案」これは、自公政権時代に否決された法案が再び鳩山政権下で法制化の動きがでてきているというのです。一応ウィキペディアで当時の法案を見てみましたが、とても複雑な法律だということ。そして言論表現の自由と照らし合わせて、どこから線引きするのかという基準が曖昧なところがあります。当時はマスコミがこぞって反対表明を示していたことを覚えています。しかし、今回成立を目指している人権擁護法案はどのようなものになるのかは不透明です。ただ危惧するものとしては、東アジアの左派政権がこのような法律に基づいて、国民に何をしたか、それを考えると恐るべき事態が待ち受けているのではないかという心配になってしまいます。

第2点は鳩山総理が打ち出したCO²の25%削減について。この基準は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって決められたものです。これは科学に明るい方はご存知かもかもしれませんが、研究者の間では必ずしもこの基準が正しいとは限らないということなのです。もともと地球は50年から60年周期で気候変動を繰り返しているという自然変動説もあって、これによるとIPCCが2100年までに3度近く気温が上昇するという予測に対して、自然変動説では気温は上下に変動しながら上がっても1度程度だろうとしています。また周知の通り高速道路無料化がそれに矛盾することや、25%という基準を目指すのならばエネルギー問題や原発問題も議論しなければならないし、確実に国のGDPは下降するでしょう。またCO²が取引の対称になりやがては投機の対象にすらなるやもしれない懸念もあります。

第3点は千葉景子法相についてです。千葉法相はもとは人権派と呼ばれる弁護士から代議士になった人物で、野党時代の議員活動として死刑反対、国籍法、入国管理法、永住外国人の地方参政権、従軍慰安婦問題、夫婦別性制度、共謀罪反対といった活動をしていました。これらについてはそういう活動をしている代議士ということでどうこうは書きませんが、一番の懸念は拉致問題等の後退だと本誌では書いています。千葉代議士は、1,989年北朝鮮拉致事件の実行犯辛光洙容疑者含む「在日外国人政治犯釈放の要望書」に署名していることです。上記の野党時代の活動などは単に左右という型にはまらず議論も必要かと思いますが、当然拉致問題等については法相として思想に左右されない姿勢であってほしいと思います。ですが、これが鳩山総理や内閣の意思ならばある意味、人権擁護法案と共に由々しきことかもしれません。

第4点は鳩山総理が打ち出した東アジア共同体構想について。本誌は、これは明らかに脱米入亜だと断定しています。この構想は、アメリカ政府の反応も含め方々のマスメディアで論じられているので、本誌で紹介されている外国メディアの反応を紹介したいと思います。

米ウォールストリート・ジャーナル誌【日本の冴えない内閣】によると
「新政権に反改革派、社会主義者、市場主義や規制緩和、企業家精神に敵意を持つ組合指導者らが入っているのは悪いニュースだ。…新政権の経済政策には望みがない。民主党のマニフェストにはリスクを取ることを勇気づけたり、企業家を鼓舞するようなものが何もない。それどころか鳩山氏はこれまでのところ経済競争力を後押しすることにほとんど関心を示してこなかった。残念ながら新政権の閣僚の顔触れでは、活発な議論はしても実のある行動はほとんどあるまい」

さらに中国の反応はどうだろう。バンコクで出されているオンライン新聞アジアタイムスに9月24日に寄稿された上海・復旦大学教授による論文は中国の見方を知るのに参考になります。

【日本のアジア参入への用心深き歓迎】のタイトルによると
「日本のアジア再参入の試みは単純ではない。幾多の困難がある。第一に米国は日本の東アジア共同体構想に用心深い。米国は日本を米国の軌道から外させないであろう。第二に中国は日本がより(米国からの)自立を求めるという要求に懐疑的だ。中国は米日同盟が日本を平和憲法に留めおき、日本の軍事力の台頭を阻むゆえに、そこから恩恵を被っている。もし日本が東アジアへの再び参入することで一層の自立を求めるなら、それは東アジアの地政学を変え、力の均衡を壊すことになろう。…東アジア共同体を作ろうという民主党の政策は、人々に軍国主義者による大東亜共栄圏のスローガンを思わせるかもしれない。民主党の戦略が日本がアジアの中心となる新たな朝貢システムを目指すものではないとは、誰にも確かではない」

つまり東アジア共同体構想は、中国の覇権を脅かすことになるかもしれないという懸念が北京政府にはあるということだと本誌は結論づけています。

あと注目は先月から新連載が始まった上原隆さんのコラム「くよくよするなよ」です。このコラムでは社会の底辺に生きる人々や競争社会になじめない人々を丹念に取材したドキュメントです。読んで身につまされるような内容です。上原さんの弱者と呼ばれる人たちへの視線は淡々としつつも誰もが共感する温かさがあります。

余談ですが、先月のリニューアル以降正論の紙面が上質紙に変わっているようです。今までガリ版刷り(?)のような紙から、すべりのよい白い紙に変わったようです。内容も廃刊した諸君をフォローするような内容になったように思います。あと、故中川昭一氏の追悼特集も組まれ、あまり知られていない業績など知ることができました。追悼文を読むにつれ、自民党にとって、いかに惜しい人材を失ったのかがわかります。今回も読み応えが増えました。

PRESIDENT
/~\Fujisan.co.jpへ

web拍手

posted by hermit at 15:23 | Comment(0) | 論壇誌正論

2009年11月04日

【リニューアル】正論(2009.11)

308もの議席で鳩山連立政権が誕生して3ヶ月がたちました。自民はそれまでの与党の立場を追われ、その中での正論のリニューアル。表紙の東京の副都心らしき夜景の空撮は、まるで政界のごたごたなど関係ないような美しさと静寂さです。しかし、現実はどうでしょう。国会質問では、野党の質問がことごとくかわされ、さぞ自民も忸怩たる思いであろう。しかし、世論は民主党と自民党の2大政党制、または政界再編を望んでいるのは確かでしょう。

民主党と自民党には共通の難点があるそれぞれが1枚岩でないこと。つまり各々の党員が一様に保守でもありリベラルでもなく、それが混在している点です。これは正論もちゃんと見据えています。今回の正論は総力特集と題して「社会党なき社会党の時代」と銘打って保守の論客たちに民主党のこの先の行方、そして自民のこれからを論じています。

今回の正論は今までとは明らかに違いました。前回までの切迫感から真の意味での現実としての日本の保守主義を捉えなおす試みで実に感心しきりで読みました。つまりは、自民党が本来の意味での保守本流へ回帰せよ、ということなのです。占領下の日本で条件付とはいえ日本が独立し、日本人としての主権と誇りを回復するために奔走した保守の志に回帰せよということなのでしょう。

民主はその民社党系の議員と労組や日教組また自治労といったリベラル色が濃厚な党なのは周知の通りですが、さらに社民党との連立でそれは決定的になっています。正論が書くには、民社系の議員の大半が極左に近い思想を持つものばかりであるのだから、安全保障また天皇制さらにアジア共同体それにともなう数々の混乱が任期4年の間に起こりつつあると明言しています。安全保障は小沢氏が国連主義者らしいので図りかねるものもありますが、いささか悲観論すぎはしますが、極左議員の中にはスターリン体制のような政権構想を抱くものすらいるのだから危機感すら抱いてしまいます。また自民党がダメなら政界再編すら行う必要があるとまで明言しています。

それを象徴するのは後半の書評欄にありました。現内閣で少子化担当相となった福島社民党党首はもともと家族制度解体論者だったのです。福島氏が出版した「娘たちへ」という本の書評なのだけど、書評よりもともとそんな思想の持ち主が何故少子化担当相へと思ってしまいます。まあ本の内容としては、18歳になる娘さんに幸せな日本に生まれてよかったね的な内容らしいのですが、福島氏の好きな近隣の国よりはなんぼかは良いでしょうよ。と著者は腐しています。

それより1番取り上げたかったのは、宮崎哲弥氏が司会を勤めた産経匿名記者座談会での会話です。一番今の政局が分かるのはこれだと思います。いくつか取り上げてみましょう。


『(記者以下略)B.自社さ政権の時代、自民党の比例区の得票数が数百万単位でがくんと落ちたのは記憶に新しい。よく言われるように小泉さんがカンフル剤だったというのはその通りだと思います。付け加えれば、安倍内閣で戦った一昨年の参議院選の総括がおかしいんですよ。(中略)

B.負けた原因は色々あったにしても、それを全部安倍路線とか構造改革路線のせいにして、「昔に戻れば強くなるんだ」みたいなことを言い出した。実は、自民党の組織や支持団体が時代の変化の中で全部バラバラにばらけてきているという現実に目を向けず、昔に戻ればそれらが再生するかのように考え、実行した。現実は何も復活しないうえに、小泉内閣で一時取り込んでいた無党派層の人たちも手放す結果となった。

A.どうしようもないな。

宮崎.小泉時代は、東京など大都市圏で無党派層を取り込んで勝利した。そこで自民党は都市型保守政党に脱皮したと論評されましたが、どうもそのトレンドが定着しなかったとみてよいですか。

B.そうだと思います。自民党は農村型政党でずうっとやってきましたが、もうこれ以上票を取り込めないということで、都市部を取り込もうとする小泉さん的なやり方が出てきた。しかし、安倍政権で参議院選に負けた後、守旧派が実権を握り逆行した。農村型の古い人たちの発言権ばっかり強くなってしまった。若い奴や都市部の政治家には任せられんと。実は今度の選挙でも同じこと言っています。都市部の総裁じゃダメだって。それなら本当に農村政党に徹すればいい。しかし有権者に占める農業関係者が人口比でどれくらいだと思っているのか。

A.自民党は集票マシンとして農協を使っていますが、実は農協と農民は敵対しているんですよ。自民党は集票マシンとして使った農協が喜ぶ政策を打ち出す。すると農民が怒る。民主党はここを実にうまくついてきた。

宮崎.農家への戸別所得補償制度の導入を公約とすることで、農業団体と農民の間に楔を打ち込んだ。(中略)傾向としては、自民党は再分配の仕組みを、まず業界団体等に流す間接支援的方式で行ってきた。これに対し民主党は子供手当や戸別所得補償制度に代表されるように直接給付方式で行おうとしている。(中略)

C.自民党は選挙期間中に民主党のマニフェストについてばらまきを批判しましたよね。でもそれは筋違いであって、自民党政治もやっぱりばらまきだったわけですよ。要するにばらまき方が違うだけでね。もし自民党が今までの自分たちの政策が正しいと言うのであれば、「そのばらまき方はいけないんだ」というふうにちゃんと説明すべきだった。単に「ばらまきはいけない」と批判したって、「お前たちもこれまでたっぷりとばらまきをやってきたじゃないか」ということになるわけですよ。自民党のばらまき批判というのはそんなに有権者の心には響かなかったと思いますよ。

A.結局ね、自民党はそこでやったなら絶対に負ける土俵に乗って勝負を挑んだ。なぜなら安全保障、歴史認識、憲法、教育といったいわゆる保守らしい部分を争点にすると自民党内が割れてしまうからなんですよ。保守との看板がないんだったらそこでやるしかないじゃないですか。

宮崎.憲法や安全保障などを争点に掲げると、自民党は分裂含みになるんですか?

B.そうですね。自民党は右二割、左二割、真ん中六割は何も考えてないと言われています。

A.だから野党に落ちたのを薬に、いわゆる保守路線をアピールしたほうが僕は得だと思うんですよ。だって民主党は完全に社会民主主義政権ですから。(中略)自民党が集票マシンにしていた業界団体にしても、与党であるからくっ付いてきたわけで、野党になったら用なしでしょう。そこに当然小沢さんは手を突っ込んできます。だから次の参院選は、小泉張りのちょっと気の狂ったような総裁が、もう参院のドンである青木幹雄さんを切って全部候補者入れ替えるぐらいのことをしないと絶対に勝てない。

宮崎.選挙では小沢戦術の指導が功を奏したということですが、代表就任以来、地方組織の拡充、地方議員の増大に腐心してきましたね。そういう営々とした努力が今回、実ったといえますか。(注1)

C.非自民連立政権がぶっ壊れた時に、党のほうにいた小沢さんに対抗したのは官房長官の竹村正義さんでしたよね。国民福祉税構想でガッチャンコしてダメだったでしょ。今回の官房長官は平野文博さん。小沢さんに対抗しえる人物じゃないよね。(中略)

宮崎.平野氏は大方の報道によれば、小沢さんと鳩山さんの橋渡し役として適任だったということですが……。

C.橋渡し役じゃない人が官房長官になったほうがよかったと私は思う。小沢さんと鳩山さんのやりたいことが一致している点はいいですよ。そうじゃないときに、鳩山さんにとって、小沢さんに対抗しえる味方が内閣の中枢に必要ですよね。それがいない。

D.本当は藤井裕久財務相あたりがよかったという気がします。

A.民主政権は金丸支配の海部政権みたいなもんだな。

宮崎.鳩山政権は長期政権になると思いますか?

B.私はあんまり続かないと思います。故人献金問題はそんなになめた話ではないですから。

C.私もそう思う。(中略)

宮崎.小沢氏は「ポスト鳩山は菅氏」と考えているという報道もありますが。

B.それは間違いない。』


最後には具体的なソマリアやアフガン問題などの安全保障や天皇継承問題などの興味深い内容もたくさん出てきますが。まずは自民と民主が今どのような状況なのかはお分かりいただけただろうと思います。

補足ですが(注1
小沢一郎オフィシャルサイトでは
今回の小沢選挙戦略が詳細に説明され民主党の大勝も頷けるような内容です。
ぜひ興味のある方は読んでみてもいいのではないでしょうか。

あとずっと前から正論が追いかけているネタで、まだここでは紹介していないものからひとつご紹介しますと。NHKが「坂の上の雲」の翌年の大型歴史ドラマとして「天皇 裕仁」と題した歴史ドラマの企画書をリークしていました。これが正論のいうところのかなり歴史認識の点で問題があるらしく、お決まりの左回りのNHKもボツにされてしまったとか。これもずいぶん正論さんも追いかけています。

総じてリニューアルの通り正論は今回明らかに軌道修正したのかなと思いました。各論者さんたちも冷静な筆致で民主政権を分析し矛盾を明らかにしています。日垣隆さんの新連載や不肖・宮嶋さんのルポはおなじみですが、本当は福島香織記者のウイグル潜入ルポはかなり詳しい内容で中国の非人道さが直に伝わってくるようでした。

もう発売していると思いますが12月号そしてその次もこんなふうな堂々とした保守オピニオン誌であることに期待したいと思います。

PRESIDENT
/~\Fujisan.co.jpへ

web拍手

posted by hermit at 18:01 | Comment(0) | 論壇誌正論

2009年10月07日

【最後の保守言論の砦】正論(2009.10)

正論的視点から見るとついに保守本流である自民党が下野してしまった。そういうわけで正論のいつもの飛ばし口調もトーンダウンしている感が否めません。論壇誌の中でも最後の保守そして最後の右派となった正論。

昨今の出版不況からか来月からは740円に値上げするようで、私のような赤貧の者には少々厳しい面もありますが、論壇誌が一様に左派色に染められている中での最後の良識的保守論壇誌正論ですから、これはついていくしかあるまいという思いを新たにしています。

保守正論を擁護しているのではなく、ただ良識的といわれる他論壇誌が一様に左派で埋められているのはいかがなものかという私なりの判官びいきかもしれません。

他にもwiLLなどがあるじゃないかというのもありますが、あの雑誌は僕の中で右翼を装ったエンタメ雑誌だと思っていますから。

本題の内容に入る前にいきなり総論で申し訳ないのですが、正論にしても自民党にしても保守本流として今回の選挙での敗北を総括していない点が気になりました。なぜ敗北した現在までもルサンチマンのようなポジショントークに終始するのか。

自民党にすればもしかして55年体制が終わった歴史的な選挙だったかもしれないという大地殻変動だったというのに痛いところには最後まで触れず、なぜこうなってしまったのかという自助努力をしてほしかったと思います。

長くなってしまいましたが、今回の正論はそういった訳でどっしりと腰をすえた感がします。連載やコラムは通常通り煽り的な記事や飛ばし気味と思える記事も少なく、先ほど書いたように重く腰を据えて編集された感があります。

特集の「やがて日本は日本でなくなる」も全体的に保守的ポジションを貫くように民主と中共との関係から日本が今以上に左傾化するとの内容でした。

あとは櫻井よしこさんの鈴木宗男氏の北方2島返還論に関する反論記事など、今回の正論は保守言論人でしっかり構えた感があります。しかし、鈴木宗男さんは未だにグレーだなぁというのは否めません。櫻井さんは鈴木さんの言行不一致をしかるべき情報筋からの情報や公式文書で調べ上げ綿密な反論を展開していますが、さすがにこれは鈴木さんが不利。鈴木宗男さんが2島返還論を目論んでいるといわれてもしかたがない気がします。

検証「日教組と戦後教育」では、ざっと俯瞰するように日教組のあらましが分かって良かったです。ご存知のように民主党の大きな支持団体に日教組があるのはご承知の通りで、ソ連時代のクルプスカヤ教育を取り入れたある意味自由奔放のような教育、つまりゆとり教育のようなものが現在の教育レベルの低下や非行の増大を促したというものでした。かといって教育勅語に戻せばいいのかという問題でもなく、将来の日本を考える上で教育は重要ですからこれからの大きな課題です。

あと気になる記事といえば、今年8月6日の広島原爆の日にその広島で講演を予定していた元航空幕僚長田母神俊雄氏が被爆者団体や平和団体また左翼団体の執拗な妨害を受け中止せざるをえなかったという記事が載っていました。執筆者は普段言論の自由を訴える左派が今度は我々の言論の自由を奪ったといった内容でした。そういうことで読んだ私も被爆地の県に在住していますから思いますが、これはもう田母神さんの気持ちも分かりますが、ある意味時期尚早でしょうね。田母神さんの気持ちも分かりますが、実際そうなりますよ。せめて数日ずらすとかできたでしょうにと思います。なぜ被爆者団体が共産党等と結びついたかの経緯を考えれば容易ですが、今まで保守自民党が被爆者の方々にそれだけ何もしてこなかったという裏返しですよ。特定の党派と結ぶのが悪いのではなく、自分たちの気持ちをくんでくれるところがいいにきまっています。田母神さんの気持ちも分かりますが、被爆者の方々はこれまで何十年国と訴訟してきたかご存知なのでしょうか。私自身どちらの気持ちも分かりますが、8月6日という被爆者の方々にとって生涯忘れえぬ日でもあることですし、そこは田母神さんもくんでやってくださいな。

そういうことで正論は最後の保守言論の砦としてこれからも頑張ってほしいと思います。と書きつつ民主党との2大政党制的な日本を期待する私ですが。

正論 2009年 10月号 [雑誌]
正論 2009年 10月号 [雑誌]
日本工業新聞新社 2009-09-01
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
民主党の正体−矛盾と欺瞞と疑惑に満ちた、日本人への恐怖の罠(OAK MOOK 305 撃論ムック)
正論 2009年 09月号 [雑誌]
正論 2009年 11月号 [雑誌]
正論 2009年 08月号 [雑誌]
WiLL (ウィル) 2009年 11月号 [雑誌]

web拍手

posted by hermit at 08:40 | Comment(0) | 論壇誌正論

2009年08月21日

飛ばしすぎ「正論(2009.9月号)」

衆院が解散し現在は告示もされました。そのせいか一読して正論も選挙へ向けて追い込みというところです。正論9月号はかなり読み応えがありました。それと同時に与党の劣勢が確定的となった今、まさに保守言論誌として危機感すら感じさせる内容でした。その内容も最後は正論としてのポジション的なとこにゆきつくのだけど、手持ちのカードを総動員して現野党とリベラル陣営をけん制するような感じでしょうか。そういう意味ではかなり面白かったです。ネット上などでコンサバを自認する人などは、なかなかに読み応えがあると思います。

まず巻頭特集では民主政治家大物をバッサリいきます。過去の不祥事から発言等の変遷、またまとまりを欠く集団構成など。政治家なんてものは叩けば埃はいくらでも出るものですから、調べだせばきりがないでしょうが、だったら対する・・・というのもありますが、それは無粋というものでしょう。

他にも今号ではかなり色んなことをフォローしていて、ウイグル暴動などはなるほどと思える記事でした。テレビメディアが伝えきれていないところをちゃんとフォローしています。特に戦前戦中のウイグル独立運動と日本との関わりなど興味深く読みました。なるほど日本は第二の満州国をウイグルに作ろうとしていたとか。密かにウイグルの活動家と連携し水面下で支援の準備をしていたそうです。しかし、それも戦況の悪化とともに頓挫することになったというとか。歴史にifはないけれど、もしウイグルに第二の満州国的なものが誕生していれば、中国は日本の支援国に囲まれ戦況は違ったものになったかもしれないと書いています。しかし戦前からして中国のウイグル弾圧は苛烈を極めたのだなというのが知られただけでも参考になります。

あと「蟹工船」と「1Q84」に対する批評というか解説もなるほどなと思いました。正論の批評だから正論のポジションというものもあるけれど、一方では社会現象ともなったこれらに対して、密かに思い浮かんだ疑問に少数派とはいえ答えているのかもしれないとも思います。

先日死去したマイケル・ジャクソンに対する記事は、目新しい事実こそ少なかったものの、マイケルと同時代を生きているオバマとの対比や、マイケルの苦難に満ちた幼少期また晩年にいたるまでの人生がざっとまとめられていたので、マイケル・ジャクソンというアーティストの人生を俯瞰する意味では良かったと思います。

それにフランス革命から民主政治を捉えなおすという試みもわりと読み応えがあったのですが、まだまだNHKJデビューに対する批判などはやはり今も徹頭徹尾です。ある意味今号もこのことに対して大きく誌面を割いているとも思える内容で、各種コラムや金美齢氏の対談などがそれに当たるのだと思います。それぞれに悪いか良いかは別として主な主張とは別のところで、日台関係やNHKの内部事情など、色々解説されておりそれだけで参考になります。

一番面白かったのは宮台教授に対する意見記事。かなり面白かったです。たぶん読めば読むほどこの欄を書かれた執筆者の方は筆がのっていたなというのが分かるくらいです。なんというか宮台先生の女性200人斬りやリベラルかコンサバか判断しかねる言論など執筆者の方から書かせれば突っ込みどころ満載なのでしょう。

総じて今回はかなりきわどい内容も多かったかもしれません。僕はコンサバだけでなくリベラル側の記事も読むので、正論を読んだからといってそれを全部鵜呑みにすることは無いのですが、こういう飛ばしまくったような内容だとある意味ブーメランになりかねない危うさはあるなと思います。

参考にもなったし面白いとこもあったし、読み飛ばしたとこもあったけど全体として、今号は今までの中で最も読み応えのある内容でした。

正論 2009年 09月号 [雑誌]
正論 2009年 09月号 [雑誌]
日本工業新聞新社 2009-08-01
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
正論 2009年 08月号 [雑誌]
WiLL (マンスリーウィル) 2009年 09月号 [雑誌]
NHKの正体―情報統制で国民に銃を向ける、報道テロリズム(OAK MOOK 293 撃論ムック)
文藝春秋 2009年 09月号 [雑誌]
日本を貶めた10人の売国政治家 (幻冬舎新書)


web拍手

posted by hermit at 01:39 | Comment(0) | 論壇誌正論
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ blogram投票ボタン 人気ブログランキングへ
カテゴリ
fx 比較
ブログパーツ